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溶接棒の種類は?被覆材・太さ・用途で選ぼう

溶接棒の種類は?被覆材・太さ・用途で選ぼう

溶接棒の種類は素材によって大きく4つに分けられます。
しかし、それぞれの被覆材の役割や使用時や保管時のポイントについてはあまり知られていません。

それ以外にも太さや母材の素材に合わせて選ぶこともあるので、今回は溶接棒の種類について詳しく解説いたします。

溶接棒とは?接合の媒介として使用する部品

溶接棒とは被覆アーク溶接などで使われる接合の媒介となる部品のことです。 一見すると細い金属の棒ですが、鋼でできた心線にフラックスと呼ばれる被膜剤を塗り固めて作られています。

画像引用元:知恵袋コーナー 用語解説 被覆剤の作用 | vol.488 | ぼうだより技術がいど

フラックス(被膜剤)があることで、
● アークが発生しやすくなり、安定化する
● シールドガスが発生することで大気中の酸素や窒素が溶接金属の中に入るのを防ぐ
● スラグの融点、粘性などが適切なものに調節される
● フラックスの中のスラグが溶融し金属表面の酸化を防ぐ
といったメリットがあり、作業がしやすく完成品の品質もよくなります。

溶接棒の用途

溶接棒は被覆アーク溶接を行う際に使われます。
アーク溶接で金属を溶接する熱を作るためには「アーク放電」という電気現象を利用しますが、溶接棒はアーク放電を引き超すための電極のひとつとして機能します。

母材にマイナスの電圧、同じ素材の溶接棒にプラスの電圧を流すと電位差が生じて強い光と熱が生まれます。
この現象をアーク放電または電弧放電と呼び、この時に生まれた熱で金属を溶かして溶接を行うのがアーク溶接です。

心線にフラックスを塗り固めた溶接棒を使うのが被覆アーク溶接で、心線のみを溶接棒として使うよりも安定して作業ができ、きれいに仕上がるのが特徴です。
他の溶接方法と比較すると設備にかかるコストが安価、かつ室内外を問わず作業ができるという利点があります。

溶接棒の種類はフラックスの種類で大きく4つに分類される

溶接棒の種類はフラックス(被膜剤)の種類によって、作業性や仕上がりが変わります。 それぞれの特徴についてご紹介します。

イルミナイト系

イルミナイトはチタンと鉄の酸化物を結合した鉱物で、フラックスに30%ほど配合されているものがイルミナイト系と呼ばれています。 溶け込みがよく、アークが強く安定していることから作業性に優れています。 日本で独自に開発された溶接棒で、様々な姿勢で使えることから、試験やコンクールなどでもよく用いられています。

ライムチタニヤ系

ライムチタニヤ系は、被膜剤に高酸化チタン(約30%)とライム(炭酸石灰)など塩基性の物質(約20%)を配合したものを指します。

アークが穏やか、かつスラグの流動性が良いので焼き付きが少なく広い範囲利用されています。
また、他の被膜剤よりも吸湿しにくく、通常の保管状態であれば使用前の再乾燥が不要です。

・神鋼 溶接棒 薄・中板の溶接用 φ3.2mm×350mm Z-44

神鋼製の溶接棒で、金属の溶接作業に適しています。
再アーク性、スラグはく離性に優れており、難吸湿なので保管がしやすいのが特徴です。
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高酸化チタン系

名前の通り、高酸化チタンを約35%配合している溶接棒です。
スパッタが少なくアークが安定しているので、美しく仕上がります。外装の溶接などにもおすすめです。

・神鋼 溶接棒 薄板・軽構造物の溶接用 φ3.2mm×350mm B-33
一般機械、軽量鉄鋼の薄板、軽量構造物などの溶接に使用する鉄(軟鋼)用の溶接棒です。
溶け込みが浅いので母材が溶けやすい薄板の溶接に適しており、光沢ある美しいビードが特徴です。

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低水素系

低水素系は炭酸カルシウムやフッ化カルシウムが多く配合されている溶接棒です。
溶接金属の水素量を最小限に抑えることができ、酸素量も少ない状態で作業できるので溶接不良になりにくいという利点があります。

ただ、アークが比較的不安定なので継ぎ目部分などでブローホールが発生しやすいため、作業時には注意が必要です。

溶接棒は太さで必要な電流が決まる

溶接棒の太さの目安は母材の板の厚みの半分くらいが適切だとされています。
溶接棒は太くなるほど必要な電圧も大きくなり、太さに合わない電流値だと溶接棒が溶けにくかったり、母材が破損する恐れがあります。

作業時には、
● 母材の板厚
● 溶接棒の太さ
● 電圧
をしっかりご確認ください。

使用する金属の種類に合わせて選ぼう

溶接棒の心線は母材と同じ材質を選ぶ必要があります。

軟鋼低電圧用溶接棒

軟鋼低電圧用溶接棒は、薄い軟鋼の鉄板などを溶接する際に使います。
低電圧用という名前の通り家庭用電源(100V)でも使えるので、DIYや趣味で金属加工をする際にもよく用いられます。

仕事で使用する際は通常の電圧の溶接機は使えません。出力が低く入力電圧が低い溶接機でご使用ください。

・TRUSCO 軟鋼低電圧用溶接棒 心線径1.4mm 棒長250mm TST10-142

TRUSCO 軟鋼低電圧用溶接棒は、溶け込みが浅く光沢ある美しいビードが得られます。
フラックスは高酸化チタン系で、下向きおよび水平すみ肉溶接において優れた作業性を有します。

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一般軟鋼用溶接棒

一般軟鋼用溶接棒は、鉄の薄い板から20mm以下の厚板まで溶接できます。
溶接痕(ビード)の伸びがよく、作業もしやすいので幅広い作業で使われています。

・TRUSCO 一般軟鋼用溶接棒 心線径1.6mm 棒長250mm TSR2-165

鉄の薄板から厚板の溶接、軟鋼を用いる車両・軽量鉄骨・建築などの一般構造物の溶接に適した溶接棒です。
フラックスはライムチタニヤ系で、再アーク性に優れ、断続溶接・すみ肉溶接・タック溶接(仮付け)などが全姿勢で行えます。

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鋳物用溶接棒

鋳物用溶接棒は、鋳鉄など鋳物の補修や溶接をする時に使われます。
一般的に、鋳物を溶接する場合は下向き(溶接棒の先端が下に向いている状態)で使用します。

・TRUSCO 鋳物用溶接棒 心線径2.6mm 棒長300mm TSC1-264

一般鋳鉄の補修溶接や、鋳鉄、鉄(軟鋼など)の異材溶接に適した溶接棒です。
アークが安定しており、溶接ひずみや応力の発生が少なく割れが発生しにくいのが特徴です。

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ステンレス用溶接棒

ステンレスを溶接するための溶接棒です。
ステンレス同士を溶接する時と、ステンレスと鉄を溶接する時は、それぞれに適した製品をお選びください。

・TRUSCO ステンレス用溶接棒 心線径1.4mm 棒長250mm TSS308-142

こちらの製品は、ステンレス鋼(SUS304とSUS304)の溶接に適しています。
ステンレス用溶接棒にありがちな棒焼けも発生しにくく、ビード外観も優れています。

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あると便利な周辺グッズ

溶接棒に使われているフラックスは、湿気に弱いので、性能劣化を防ぐためにケースなどで保管しておきましょう。

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溶接棒が吸湿してしまうと作業性に悪影響を及ぼします。
乾燥機などを使って適切な状態にしてから使用しましょう。

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まとめ

溶接棒は被覆アーク溶接に欠かせないアイテムです。
溶接棒は、心線の素材・フラックスの素材・溶接棒の太さの組み合わせによってたくさんの種類があるため、用途や状況に合ったものを選定しましょう。
仕事でお使いの場合は複数の種類が必要となりますが、安定して作業できるように保管には気を配る必要があります。

今回ご紹介したように、現場市場では色々な溶接棒や周辺グッズを取り扱っております。
価格や在庫情報は商品ページからご確認くださいませ。

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ヤスのコメント

溶接棒は材料に合わせて太さや電圧を選定しないとブローホールの原因になったりするので大変ですね…!
綺麗な仕上がりにしてお客様に綺麗で安全な製品をお届けできるように選定していきたいです。
溶接と言えば親戚が溶接関係で働いているのですが会うたびに服に穴が開いていて、なんとなく聞いてみたら溶接の火花で空いた穴だそうです。
火傷の元になるらしいのでちゃんとエプロンなどをするのがいいとは思いますがあまり気にしていないようです。
次に会うときは何個になっているのでしょうか…




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ヤス

愛車はシトロエンC3。前職は家具メーカーのECサイト運営。現場市場の企画・撮影を担当。知られざる「現場にあると嬉しいモノ」を知ってもらうことを目的に活動中。休日の日課はもちろん洗車です!

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