インバーターとは?仕組みや役割から主なメリット・使用例まで

作業現場では、インバーターを使用したさまざまな機器が使われています。そもそもインバーターとは何か、どのような仕組みなのかが気になる方は多いのではないでしょうか。
インバーターは電気の直流・交流にかかわっており、さまざまなメリットがある装置です。インバーターの知識を深めることで、インバーター装置を適切に選んで扱えるようになるでしょう。
今回はインバーターとは何か、どのような役割がある装置かを説明した上で、インバーターのメリット・注意点や使用例までを徹底解説します。
インバーターとは?

インバーターとは、交流(交流電流)を直流(直流電流)に変換し、再び交流へと変換する装置のことです。
電力会社から供給される交流は電圧や周波数が変化していて、交流のまま任意の電圧・周波数に変えることは簡単ではありません。インバーターによって直流への変換を挟むことで、任意の電圧・周波数の交流を利用できるようになります。
なお、一般的に呼ばれるインバーターは「インバーター装置」のことです。インバーターという言葉が使用された家電製品は「インバーター装置によって性能や機能が高められている製品」を意味します。
インバーターの仕組み|主な3つの構成要素
インバーター装置の内部は、「コンバーター回路」「コンデンサ」「インバーター回路」の3つの要素で構成されています。
インバーター装置は3つの要素がそれぞれ働くことにより、下記の流れで交流の電圧・周波数を変化させています。
(1) 外部から供給された交流を、コンバーター回路が直流に変換する
(2) コンデンサが放電と充電を繰り返して、電流を平滑化させる
(3) インバーター回路が直流を、任意の電圧・周波数を持つ交流に変換する
インバーター回路には、複数のスイッチを組み合わせることで電流の向きを変える「スイッチング技術」が使われています。電流の向きを一定周期で切り替えることでプラスとマイナスの電圧を出力して、直流から交流を作る仕組みです。
インバーターとコンバーターの違い
インバーター装置のインバーター回路とコンバーター回路は、それぞれ逆の役割を持っています。
コンバーター回路は、交流を直流に変換する回路です。交流の波形は正弦波となっていて、波長の向きや高さが一定周期で変化します。コンバーター回路には電流を一方向にのみ通すダイオードが組み込まれていて、交流はダイオードを通ることで電流の向きが整えられる仕組みです。
対してインバーター回路は、波形の向きや高さが一定になっている直流を交流に変換する役割があります。インバーター回路はスイッチング技術によって疑似的な正弦波を作ることで、直流を交流に変換しています。
インバーターの役割

インバーター装置やインバーター回路には、主に2つの役割があります。
● モーターの回転数を変化させる
● 電気を直流から交流に変換させる
どちらの役割も、家電製品の性能や機能を高めるために欠かせないものです。
以下ではそれぞれの役割について、どのような効果があるかなどを解説します。
モーターの回転数を変化させる
インバーターは電流の周波数を調整することにより、モーターの回転数を変化させられます。モーターの回転数が上がると基本的に機器の各パーツは素早く動き、反対に回転数が下がれば各パーツの動きが遅くなるため、機器の性能調整が可能です。
また、電圧を下げずに周波数のみを下げると、大量の電流がモーターに流れて焼損するおそれがあります。周波数と同時に電圧を変えられるインバーターは、モーターの焼損を防ぎつつ性能調整を行うために欠かせない装置です。
電気を直流から交流に変換させる
「電気を直流から交流に変化させる」役割を目的として、インバーター回路が家電製品に組み込まれるケースもあります。
電気を直流から交流に変換できるインバーター回路は、必要な電圧・周波数を持った交流を作り出せます。「電気を直流から交流に変化させる」役割のためにインバーター回路が組み込まれている機器の代表例には、冷蔵庫やエアコン、コンピュータ用の電源装置などが挙げられます。
インバーターを使用するメリット

インバーターがさまざまな製品に使われている理由は、インバーターに多くのメリットがあるためです。インバーターを使用すると機器のパフォーマンスが向上したり、省エネになるなど効率化につながります。
ここからは、インバーターを使用する2つのメリットをそれぞれ詳しく説明します。
電圧・周波数の細かな調整が可能となる
インバーターを使用すると電圧・周波数の細かな調整が可能となり、モーターの回転数を自在に変えられます。ボタン操作で高速・低速の切り替えなどができるようになり、結果として繊細な操作を実現可能です。
インバーターがない場合はモーターの回転数を変えられないため、機器は起動と停止しかできない状態となり、作業に適した機器の制御が行えません。
省エネ効果が期待できる
インバーターによって機器の繊細な操作ができるようになると、作業中の無駄な動きを省けます。低速駆動で十分ならばモーター回転数を下げるなど、消費電力の抑制ができるようになり、機器を省エネで運用することが可能です。
また、機器の無駄な動きを省けることにより、部品の劣化を軽減させられる点も大きな魅力です。部品の劣化が遅くなることで機器自体の故障・破損の頻度が少なくなり、経済的なメリットも生み出せます。
インバーターを使用する際の注意点

インバーターを使用する際は、2つの注意点があります。
●インバーターの導入には高額なコストがかかる
設備や機器へのインバーターの導入には高額なコストがかかります。既存の回路にインバーター回路を組み込む場合は電気工事が必要であるため、コストはさらに高額となるでしょう。
●インバーター装置を使い続けているとノイズが発生する可能性がある
インバーター装置に使われているコンデンサは、交流に混じっているノイズを除去する働きがあります。コンデンサが劣化するとノイズを除去する働きが弱くなり、インバーター装置からノイズが発生する可能性があります。
また、インバーター装置の内部で行われている高速のスイッチングもノイズの原因です。
ノイズが発生している状態でインバーター装置を使い続けていると、周囲の電気機器に影響を与える可能性があります。インバーター装置は定期的なメンテナンスやノイズ対策を施すほか、仕組みや特徴をよく理解して活用することが大切です。
インバーターの使用例

インバーターは交流を使いやすくするための装置であり、身の回りのさまざまな電気機器にインバーター装置やインバーター回路が使われています。
インバーターの主な使用例は下記の通りです。
● エアコン
● 冷蔵庫
● エレベーター
● 蛍光灯
● IH調理器
● 電気自動車
● コンピュータ用の電源装置
エアコンや冷蔵庫には電圧・周波数を変えるインバーターが使用されています。電圧・周波数に合わせてモーターの回転速度が変わり、温度を調節できる仕組みです。
蛍光灯やIH調理器に使われているインバーターは、周波数を変えるためのものです。周波数の調整により、明るさや発熱量の操作を可能としています。
コンピュータ用の電源装置には、交流の電圧・周波数を一定にするためにインバーターが使われています。電圧・周波数が一定になると、商用電源の周波数変動や瞬間的な停電が起きた場合にもコンピュータの誤作動・停止を防ぐことが可能です。
現場市場で販売しているインバーター4選
下記に、現場市場で販売しているインバーターを4つ紹介します。それぞれ特徴や仕様、さらに費用が異なるため、複数の商品を比較検討する際の参考にしてください。
三菱電機 インバータ FREQROL-E800シリーズ 三相200V FR-E820-0.4K-1
三菱電機/汎用インバータ FREQROL-A800シリーズ0.4kW 3A FR-A820-0.4K-1
三菱電機/汎用インバータ FREQROL-E700シリーズ 三相200V 0.1KW FR-E720-0.1K
三菱電機/汎用インバータ FREQROL-D700シリーズ FR-D720-0.1K
まとめ
インバーターは交流を直流に変換し、直流から交流へと変換する装置です。インバーターを使用することで、交流の電圧・周波数を任意に変えることができます。
インバーターは主に、モーターの回転数の変化や、電気を直流から交流に変化させることを目的として使われます。機器によって適切なインバーターは異なるため、使用目的に合ったインバーター装置を使用しましょう。
現場市場では、さまざまなインバーター製品を取り扱っております。紹介したおすすめ商品を参考に、作業に合ったインバーターをぜひ探してみてください。
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この記事を書いた人
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ヤス
愛車はシトロエンC3。前職は家具メーカーのECサイト運営。現場市場の企画・撮影を担当。知られざる「現場にあると嬉しいモノ」を知ってもらうことを目的に活動中。休日の日課はもちろん洗車です!
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ヤスのコメント
エアコンの温度調節や、蛍光灯の調光ができるのはインバーター(inverter)のなせる業。電気を直流から交流に「交換」したり、電圧を「調整」してくれる縁の下の力持ち的な存在です。
バーターと聞くと、人気芸能人Aさんと売り出し中のBさんを一緒に出演させる、いわゆる「芸能界のバーター」を思い浮かべた人もいるのではないでしょうか。こちらの語源は「束」→「タバ」→「バーター」だそうですよ!
他にもビジネスシーンだと「物と物の取引」のことを「バーター(barter)」といったりします。
3つとも語源が別で使われる場所も別々ですが、どこか意味合いが似ているところが面白いですね♪