ホイストとは？クレーンやウインチとの違いや種類を紹介
ホイストはマテハン機器の一種で、重いものを上下させるうえで便利な器具です。重量物の水平移動が可能なクレーン、ウインチと似た特徴を持つものの異なる器具です。
重量物を扱う物流施設や工場などで便利な器具の一つといえます。今回の記事では、ホイストの特徴やほかのマテハン機器との違いについて紹介します。工場や物流施設などの設備拡充を検討する際には、ぜひ参考にしてください。
ホイストとは
ホイストは、ロープやチェーンを使って重いものを垂直に持ち上げたりおろしたりする機材で、マテハン機器の一つです。人力だけで重いものを持ち上げようとすると大人数が必要になりますが、ホイストがあれば省力化できます。
製品により吊り下げ可能な重さに違いがあり、コンパクトな物で200kg程度、大規模な物では1t以上の荷物の吊り下げが可能です。
本来は、ものを上げ下げする機能に特化したものがホイストです。前後左右のいずれかに動かせる機械はクレーンと呼ばれます。垂直巻き上げ、水平移動が共に可能な機材は「ホイストクレーン」もしくは「テルハ」と呼ぶ場合もあります。
ホイストの種類
ホイストの種類は多数あり、ここでは以下の代表的なタイプを紹介します。
● 電動横行電気ホイスト
● エアホイスト
● レバーホイスト
● ポータブルタイプのホイスト
電動横行電気ホイスト
電力でワイヤーについているモーターを動かして、重い荷物を上げ下げする仕組みのホイストです。電源が得られる工場や物流施設などでは盛んに利用されています。
天井クレーンと組み合わせて、荷物の上げ下げと運搬が共に可能な状態で使用するケースも少なくありません。
エアホイスト
エアホイストは、圧縮した空気の圧力を活用して荷物を上げ下げするホイストです。電源がなくとも使用できます。電源が得られない場所や、化学工場などで火花による爆発の危険性がある現場などでしばしば活用されます。
レバーホイスト
レバーホイストは、チェーンで機材を固定して、ハンドル・レバーを操作して荷物を上げ下げするホイストです。ほかのホイストと比べると小型・軽量なので、持ち運びに便利かつ安価で手に入ります。建設現場・土木作業現場などで一時的に使用するときなどに便利です。荷物の上げ下げのほか、牽引や貨物運搬の荷締め作業に使用される場合もあります。
ポータブルタイプのホイスト
ホイストの主要機能をそのままに、取り外しや持ち運びがしやすい形のホイストです。外の作業現場で一時的に重量物を上げ下げするときなど、設備の備え付けができない状況の時に重宝します。エアータイプのものもあるため、危険物を扱う作業場でも利用可能です。
ほかのマテハン機器との違い
マテハン機器というと、ホイストの他には次のような物があります。
● クレーン
● ウインチ
● チェーンブロック
それぞれの違いをおさえて、状況にあった機器をうまく使い分けられるようにしましょう。
クレーン
マテハン機器としてのクレーンは、荷物をつり上げて前後・左右などに運搬ができる設備です。また、基本的には巻き上げ装置がついていて、つり上げ作業は自動化されている設備を指します。
つり上げに人力が必要な設備は、このあと紹介するチェーンブロックとなります。中には上げ下げは自動、水平移動は人力の設備もありますが、これはクレーンの一種とされるのが一般的です。
ホイストは、重量物を上下させる機能を持つ設備を指します。ただし、クレーンとホイストを組み合わせて「ホイストクレーン」「テルハ」として使用する場合もあります。ホイストクレーンならつり上げ・つり下げと運搬が可能です。
マテハン機器としてのクレーンには、さらにいくつかの種類があるので、合わせて紹介します。
テルハ
テルハはホイストクレーンの一種で、レールの上にホイストを取り付けた設備です。荷物をつり上げて、さらに横行レールに沿って水平に運搬ができます。ひとつのレールに沿ってホイストが移動するため「モノレールホイスト」とも呼ばれます。
天井クレーン
天井クレーンは、天井に走行用のレールを取り付け、レールに沿ってホイストで荷物をつり上げて運搬できる設備です。テルハも天井クレーンの一種とされる場合もあります。
テルハ以外の天井クレーンでは、建物の壁に沿って取り付けられた2本のレールを伝ってクレーンガーターを前後に移動させられるため、前後左右に荷物を水平移動させることが可能です。
橋形クレーン
橋形クレーンは、天井クレーンの両端に脚があり、脚の根元（地上）に取り付けられたレール上を行き来させられるクレーンです。屋外や壁が周囲にない環境で、天井クレーンと同様の設備が必要なときに設置します。
片橋形クレーン
天井クレーンと橋形クレーンを組み合わせた仕組みの設備です。片方が脚が付いていて地上のレール上を移動します。一方で片方は建物に沿って取り付けられた空中のレール上に備え付けられています。工場や物流施設などの屋外の壁際で重い荷物の運搬・整理などが必要な時にしばしば設置します。
ジブクレーン
ジブクレーンは、ひとつの柱を中心にホイストを水平に周回させられるタイプのクレーンです。重い荷物を円周上の軌道で平行移動させたいときに利用します。備え付けタイプのほか、キャスターがついていて持ち運びができるタイプもあります。後者は工事現場などでも使用可能です。
ウインチ
ウインチは日本語に直すと「巻き上げ機」となります。フックに引っかけた重量物をワイヤーやチェーンで巻き上げて動かすことができます。高所から取り付けて使用すればホイストと同じような使い方も可能です。一方で、水平に使用して荷物の横引きなどにも利用できる点がホイストとは異なります。
チェーンブロック
チェーンブロックは、チェーンを巻き上げて重量物を移動させる器具です。基本は人力で作業する設備で、てこや滑車の原理により少ない力で重い荷物をつり上げられます。
その他、圧縮空気による圧力を使うエアチェーンブロックや電動のチェーンブロックもあります。作業環境や作業の効率性をふまえて、適切な設備を使用しましょう。
ホイストを取り付け・使用する際に注意すべきポイント
ホイストの取り付けや使用時には、次のようなポイントに注意が必要です。
定格荷重
つり上げる荷物の重さに耐えられるホイストを選びましょう。
揚程
作業を進める上で適切な高さまでつり上げられるようにホイストを設置します。
電源電圧（電動ホイストの場合）
設備内の電源を使用して問題のないホイストを設置してください。
電気ホイストの巻上速度
危険物や壊れやすい物をつり上げるときは、巻上速度にも留意が必要です。
移動方向（上下のみ、上下左右、上下と前後左右）
ホイスト単体では上下のみの運搬となりますが、クレーンと組み合わせれば左右もしくは前後左右の運搬も可能となります。運搬機能の要否を検討したうえで、必要に応じてクレーンと組み合わせて使用しましょう。
まとめ
ホイストは、重量物をつり上げ・つり下げるときに使用する設備で、電力式のほか、エアー式、人力のものがあります。作業環境や作業内容、つり上げる荷物の性質などを踏まえて適切な設備を導入しましょう。また、ホイスト単体では運搬機能がありません。運搬機能を持たせたいならクレーンと組み合わせて使用してください。
現場市場では、今回紹介したホイストをはじめ、多様な工業用品・作業用品を取り扱っています。高品質な設備を導入して、工場や建設現場での作業を効率化させましょう。
（参考：レバーホイストとレバーブロックの違いを徹底解説！特徴やデメリットも紹介 | ヨロスト。）
（参考：レバーホイストとチェーンブロックの違いとは？現場での使い分け方 | えびすツール）
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この記事を書いた人
ヤス
愛車はシトロエンC3。前職は家具メーカーのECサイト運営。現場市場の企画・撮影を担当。知られざる「現場にあると嬉しいモノ」を知ってもらうことを目的に活動中。休日の日課はもちろん洗車です！
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ヤスのコメント
いかがでしたでしょうか。今回はホイストとクレーンの違いなどについてご紹介してきました。 先日のこと。子どもとゲームセンターに行くため愛車で海沿いを走っていると、大きなガントリークレーンが見えてきました。「パパみてー！大きなキリン！」と子どもが言うので、「本当だね！よーし、このあとクレーンゲームで好きなもの取ってあげるからね！」と意気込んでいざクレーンゲームへ！大金をつぎ込みましたが収穫なし、、、トホホ（泣）