ルーメン、カンデラ、ルクス、ケルビンとは?照明選びの参考にしよう

作業場を明るく照らすうえで照明器具はかかせません。土木作業等においても暗所や夜間の作業が発生するなら照明器具が必要となります。
照明器具の性能についてはルーメン・ルクスなど複数の単位で表現されるのが一般的です。
現場や用途を踏まえて、適切な器具を選ぶうえでは、それぞれの単位の意味合いを正しく理解する必要があります。今回の記事では、照明の単位について違いや考え方を紹介します。照明選びにおける参考にしてください。
ルーメン・ルクス・ケルビン・カンデラはすべて照明の単位

ルーメン・ルクス・ケルビン・カンデラは、すべて照明の明るさを表す単位です。ただし、次のようにそれぞれ意味合いが違います。
● ルーメン(Lm):光源の「光束」の量
● ルクス(Lux):照らされた一点に入る光の量「照度」
● カンデラ(cd):ある方向に照射された光の強さ「光度」
● ケルビン(K):光の色を表す「色温度」
それぞれの単位について、詳しくみていきましょう。
ルーメンとは
ルーメンは、一つの照明から発せられる光の総量です。数値が高いほど光が多いため、その光源部分においては明るいということになります。照明器具そのものの明るさを示すときに使われることの多い単位です。
ルーメンが同じ照明でも照射する角度が大きければ、一方向あたりの明るさは暗くなります。また、当然ながら光源から遠くなれば暗くなります。そのため照射したさきの明るさは、ルーメンの単位では把握できません。
ちなみに、一般的な60Wの電球は810ルーメンです。一般的な部屋の照明としては、60Wほどで必要な明るさを得られます。
ルクスとは
ルクスは「照度」と呼ばれ、照らされている部分の明るさを示します。光源から離れるほど光が届きにくくなり暗くなるため、ルクスは下がります。すなわち照明器具のルクスを記載するときには、照明器具との距離を仮定する必要があります。たとえば天井につける蛍光灯のルクスは、天井から床までの距離を想定したうえで計測します。
ルクスは労働基準法やJISで基準が決められているため、照明器具を設置する際には確認が必要です。ちなみに明るめなオフィスの目安は400ルクス、窓際では2,000ルクスとなります。
以前は、ルクスを計測するためには「照度計」という器具が必要でしたが、いまはスマホアプリで簡単に計測が可能です。
ルクスの推奨規格
日本産業規格(JIS Z 9110:2010 照明基準総則)においては、以下のような基準が定められています。
● 一般住宅の居間での読書|500ルクス
● 書斎での勉強|750ルクス
また、労働基準法では、令和4年より施行された改正法において、次のような基準が定められています。
● 付随的な事務作業|150ルクス以上
● 一般的な事務作業|300ルクス以上
ケルビンとは
照明におけるケルビンは「色温度」とも呼ばれ、光の色を表す指標です。「ケルビン」は一般には温度を表す単位ですが、光は温度によって色合いが変わるため色を表す数値とされています。
ちなみに、ケルビンは低いほど赤もしくはオレンジがかった色となり、高くなればやがて白くなります。そしてさらに高くなると青色になります。目安としては次のとおりです。
● 青空の色:12000K
● 昼光色:6500K
● 昼白色:5000K
● 白色:4200K
● 温白色:3500K
● 電球色:3000K
カンデラとは
カンデラは「光度」とも呼ばれ、ある一方向に放射された光の強さを指します。照明器具の場合は、最も明るく照らす角度のカンデラを「中心光度」「最大光度」と称して照明器具の性能の一つとして表現されます。
照明は通常、照射角度が狭いほどルーメンが小さくても一方向を明るく照らすことができます。照射角度が広ければその反対となります。
照明器具、特に野外を照らすライトなどを選ぶときは、カンデラと照射角度を合わせて考慮して商品を選びましょう。カンデラが大きくても照射角度が狭ければ、必要な範囲を照らせない可能性があるからです。逆に、照射角度だけに着目してしまうと、作業を円滑に進めるうえで必要な明るさが得られない場合もあります。
照明を検討するうえで他に確認すべき単位とは?

照明選びにおいては、ここまで紹介した数値のほかに次の単位も見ておいた方がいいでしょう。
● 演色性|R:照明の色の見え方
● 消費電力|W:照明が消費する電力量
● 入力容量|VA:実際に使用できる電力の量
● エネルギー消費効率|lm/W:1W当たりで発する光の量
演色性|R
演色性「R」は、照明器具の色の見え方を表す単位です。自然の光である太陽光に近いほど演色性が良いと表現されます。日本ではCIE(国際照明委員会)の評価法を取り入れたJISの演色性評価法で反映されます。
単なる演色性はRですが、一つの光源のRにはばらつきがでるため、そのばらつきをならした平均演色評価数(Ra)で評価するのが一般的です。Raは80以上で演色性がよいと評価されます。なお、この定義から見てわかるように、太陽光に近い光を得たい時に参照すべき指標といえます。
全ての使用シーンにおいて太陽光に近い光が求められるわけではないため、Rが常に重視されるとは限りません。
消費電力|W
商品で力はワット(W)という単位で表されます。「30W」「60W」など市販されている電球の単位などでもしばしば目にします。白熱電球のみが一般的だった時代は、消費電力はある程度明るさに直結するため、市販品レベルでは明るさの指標の代用として使用されていました。
現代ではLEDの登場により、消費電力を抑えながら明るくすることが可能となったため、賞品電力と明るさは必ずしも直結しなくなりました。
一方で、消費電力が高いと電気代や電源コストがかかるため、作業場などのランニングコストを管理するうえでは、引き続き消費電力は着目すべき指標のひとつです。
入力容量|VA
入力容量とは、照明が消費する電力のことです。VAとは電圧Vと電流Aの積のことです。理論上はWとVAには次のような図式が成り立ちます。
W=V×A
しかし、実際には設備の限界から消費に回らない電力が生じるため、次のような図式となります。
W=V×A×力率(<1)
VAとは、接続された電力のうち実際に使用される部分のことです。Wに対してVAが小さければ、それだけ消費しきれない非効率な電力が発生することになります。
エネルギー消費効率|lm/W
1W当たりでどれだけ光が出ているかを表す指標です。数値が高ければ効率がよく、少ない消費電力で充分な明るさを得られることを意味します。一般的な照明器具のlm/Wの目安は次のとおりです。
● 白熱電球:13.5lm/W
● ハロゲン球:20lm/W
● 有機EL:17-40lm/W
● 長形直管蛍光灯:110lm/W
● 水銀ランプ:55lm/W
● LED:110-190lm/W
LEDは一般に省エネ性能の高い照明器具とみられますが、lm/Wでみると白熱電球のおよそ8〜14倍となっています。
まとめ

照明器具の性能は、さまざまな指標で表現されます。光源自体の明るさだけでなく照射範囲や光源から離れた場所の明るさや光の色などを踏まえて、最適な照明器具を選びましょう。最近では省エネやコスト削減の観点から、消費電力や電力の消費効率にも気を配る必要があります。
現場市場では、さまざまな用途・性能の照明器具を多数販売しています。照明の使用シーンや予算をふまえて、最適な照明をお買い求めください。
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この記事を書いた人
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ヤス
愛車はシトロエンC3。前職は家具メーカーのECサイト運営。現場市場の企画・撮影を担当。知られざる「現場にあると嬉しいモノ」を知ってもらうことを目的に活動中。休日の日課はもちろん洗車です!
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ヤスのコメント
光を表す単位がこれだけ種類があるのは、光と人は切っても切れない関係で、昔から様々な場面で照明が活用されてきたからでしょうね。
ところで、一日の疲れを癒す、バスタイム。照明選び一つで、浴室の雰囲気は大きく変わりますよね。脳がリラックスするためには、ケルビン値は3,000ケルビン前後 の温かみのある電球色がオススメです。特に疲れているときは、私は照明を消して暗闇にすることもありますよ〜。副交感神経が優位になり、リラックス効果がより高まるそうです。くれぐれも寝落ちしないようにご注意を!
(※ケルビン値とは色温度のことで低いほど暖色の光になります)