シャーレンチの特徴・使い方を詳しく解説！おすすめ製品10選

シャーボルトは、特殊な構造をしたボルトです。

画像引用元： S10T 高力シャーボルト (構造用トルシア型高力ボルト)

右端の部分は一定のトルクがかかると外れる仕組みになっており、外れる部分をチップやピンテールと呼びます。
ピンテールが外れることで緩すぎず強すぎず適切な力でボルトを締めたことが一目で分かる構造で、均一にボルトが締められることから鉄骨建築などに使われています。

ピンテールが外れたボルトは安全上再使用できません。
このトルクを管理する仕組みを「トルクコントロール法」と呼び、シャーボルトはトルクコントロール法のために開発されました。

シャーレンチは特定のボルトに使用するということで、専門性が高くニッチな工具と思われることが多いです。
しかし、シャーレンチ・シャーボルトはビルや鉄骨の橋、タワーなど建築物にも使われています。
意外と我々の身近な場で使用されているというわけですね。

まずは取り付けをしたい場所にシャーボルトをセットして、仮締め（手締め）をします。

その後、シャーレンチのレバーを引いて電源を入れます。
製品によって充電してコードレスで使用できるもの、コードで電源と接続して使用するものがあります。用途や目的に応じた製品をお選びください。

シャーボルトの径に合わせてトルクを設定し、一次締めをしましょう。
一次締めをしてから本締めすることで、均等な力でボルト締めができます。

一次締めのトルクは下表の通りです。

ボルトの呼び径	トルク（N・m）
M12	50
M16	100
M20.M22	150
M24	200
M27	300
M30	400

一次締めが終わったら、ボルトのネジ山・ナット・座金にかけて線を引いてマーキングを行いましょう。
本締めではシャーボルトのナット部分のみが動くので、他の部分とのマーキングのずれを確認することで角度や回転数が適切かを判断できます。

一次締めをしたら本締めを行います。

本締めはシャーレンチのインナーソケットがボルトのピンテールを掴み、アウターソケットがナットを回します。

画像引用元： トルシア形超高力ボルト〔SHTB〕 - 日鉄ボルテン株式会社-高力ボルトのパイオニア

適切なトルクがかかったら自動でピンテールが外れるので、トルク値およびナットの回転角の測定は不要です。

ピンテールが外れたらシャーレンチのスイッチを切ります。

本締めが終わったら、チップレバーを引いてピンテールを取り除き次の作業に移りましょう。
止める順番は中央→端で行います。

シャーレンチの形状は、以下の5種類に分けられます。
　● スタンダード
　● グリップ回転
　● 外付け
　● コーナー用
　● 極短用
それぞれの特徴を見ていきましょう。

● スタンダード

画像引用元： M20 シヤーレンチ ｜ シヤーレンチ ｜ 総合工具メーカー、TONE株式会社

一般的な形状のシャーレンチです。

● グリップ回転

画像引用元： M20 グリップ回転式シヤーレンチ ｜ シヤーレンチ ｜ 総合工具メーカー、TONE株式会社

グリップ部分が回転するので、真上や真下など様々な角度から締付作業することが可能です。

● 外付け

画像引用元： コードレス入力シヤーレンチ ｜ シヤーレンチ ｜ 総合工具メーカー、TONE株式会社

電動ドライバードリルに取り付けて使用できる外付けシャーレンチです。
電源がない場所や、コードレスシャーレンチがない場合などに使えます。

● コーナー用

画像引用元： M22 コーナー型シヤーレンチ ｜ シヤーレンチ ｜ 総合工具メーカー、TONE株式会社

狭い場所の締付作業に向いたスリムな本体のシャーレンチです。

● 極短用

画像引用元： M22 極短型シヤーレンチ ｜ シヤーレンチ ｜ 総合工具メーカー、TONE株式会社

橋梁などのUリブ部やトラス部の集合箇所など、スリムタイプでも作業がしにくい狭まった場所の締付作業に使われます。

シャーレンチは、使用できるシャーボルトのサイズが決まっています。
一般的に使われるのは、
　● M12
　● M16
　● M20
　● M22
　● M24
　● M27
　● M30
こちらの規格です。

シャーボルト、シャーレンチをご購入する際はそれぞれ適合した製品をお選びください。

一般的には電源を接続するAC電源タイプが使われますが、シャーレンチも充電式の製品が増えてきました。

AC電源タイプは、単相100Vまたは単相200Vに分かれます。
充電式は短時間の作業や、電源がとれない場所、足場が悪い場所での使用におすすめです。