デジタルトルクレンチとは|機能、使い方、精度、選び方について
デジタルトルクレンチは、トルク(締め付ける力)をデジタル数値で表示してくれるレンチです。参照しながら作業することで、より高い精度でネジやボルトの締め付け作業を行えます。
特に工業製品の生産など、作業の正確性が求められるシーンでは重要性の高い工具の一つといえます。今回の記事では、デジタルトルクレンチの使い方や種類、おすすめの製品を紹介します。これからデジタルトルクレンチを使用する予定の方は、ぜひ参考にしてください。
INDEX
- 1.そもそもトルクレンチとは?
- 1-1.基本的な機能
- 1-2.デジタルトルクレンチ、角度締めトルクレンチ、機械式(アナログ)トルクレンチの違い
- 1-3.トルクとは?
- 2.デジタルトルクレンチの使い方
- 2-1.工具と測定機能が一体型のデジタルトルクレンチの場合
- 2-2.取り付け型のデジタルトルクレンチの場合
- 2-3.データをパソコンなどと連携させる場合
- 3.おすすめのデジタルトルクレンチ4選
- 3-1.ktc トルクル
- 3-2.ktc デジラチェ Type rechargeable(充電式)
- 3-3.トーニチ デジタル型トルクレンチ トルク範囲20〜100 CEM100N3X15D
- 3-4.SK11 デジタルトルクレンチ SDT3-060
- 4.まとめ
そもそもトルクレンチとは?
トルクレンチとは、締め付けの力を測定してくれる精密機械です。作業精度や品質の向上や、作業工程での部品の破損の抑制などに役立ちます。
基本的な機能
トルクレンチは、ボルトやナットなどを締め付ける際に、どの程度の負荷がかかっているかを測定してくれます。DIYや工場などで正確な締め付け作業を行ううえでは、締め付けの力を適度かつ一定に保つことが望ましいといえます。
締め付けが弱すぎると部品が外れる原因となり、強すぎると部品が破損するリスクが高くなります。繰り返し作業の中で締め付けが一定でなければ、不良品の発生頻度も高くなるでしょう。
トルクレンチをうまく活用すれば、毎回一定の力で締め付け作業を行えるようになるため、作業精度の向上に役立ちます。なお、トルクレンチは、作業時の締め付けの力を測定するものであって、締め付けられているボルト・ナットが、どれくらいの力で締め付けられたかは測定できないので注意しましょう。
デジタルトルクレンチ、機械式(アナログ)、トルクレンチ角度締めトルクレンチの違い
トルクレンチには、今回主に使い方を紹介するデジタルトルクレンチや機械式トルクレンチ角度締め、トルクレンチなど多数の種類があります。
機械式(アナログ)トルクレンチには2種類あり、規定のトルク値まで達すると音が鳴り知らせてくれますが、自らレンチを回すのを止めないといけない非空転式と、規定値まで達するとレンチが回らないように空転し始める空転式があります。
角度締めトルクレンチとはボルトの締め付け角度でトルク値を維持するレンチです。使い方を簡単に説明すると、まずボルトに定められたトルクをかけて、そこから規定の角度で締め込み固定を行います。こうして角度締めトルクレンチではトルク値の管理を行います。
トルクとは?
「トルク」とは物理用語で、物を回転させる力を表しています。トルク値を表す単位は「N・m(ニュートンメートル)」です。物を回転させる力の値と言われても、ぱっと思い浮かべることも難しいと思います。
身近な物や動作で例えると、鍵を鍵穴に入れて開閉するために回すと起こる力や、瓶や缶、ペットボトルなどの蓋を回すときに起こる力も「トルク」です。工作時の作業品質を高めるためには、適度かつ均一なトルクでボルト・ナットを締め付けるのが大切です。
デジタルトルクレンチの使い方
デジタルトルクレンチにはいくつか種類があり、それぞれ使い方が異なります。ここからはそれぞれの使い方を紹介していくので、初めてデジタルトルクレンチを使うときには是非参考にしてください。
なお、どのデジタルトルクレンチでも、電源を入れる時には平らな場所に置いて、デジタルトルクレンチに負荷がかからないようにしてからにしましょう。適切なトルク値を出し、正確な値で作業を進めるために重要なポイントです。
工具と測定機能が一体型のデジタルトルクレンチの場合
使用している機能やトルク値が表示されるデジタルトルクレンチは、工具と測定機能がひとまとまりになっている便利な製品です。
工具に付いている画面の表示を確認しながら作業を進めていきます。使用しているボルトやナットのトルク値に達すると、光や音などで知らせてくれます。トルク値に達したサインが出たら、回すのを止めましょう。
工具と測定器が一体型ということで、工具部分の交換はできません。「作業場が狭いのでコンパクトな工具を使用したい」「締める際に強い力が必要だから持ち手を大きくしたい」といった場合には、別のデジタルトルクレンチを用意する必要があります。
取り付け型のデジタルトルクレンチの場合
普段から使っている工具に後付けで取り付けて使用する、取り付け型のデジタルトルクレンチの場合です。
まず、デジタル機器などの測定機器等との接続をあらかじめ済ませたうえで、電源を入れます。その後、使用するレンチに取り付けます。デジタル機器とのデータ受信があるタイプだと、作業に合ったトルク値の設定が接続時点で完了しているため、そのまま作業に取りかかりましょう。
デジタル機器との接続がないものは、自分でこれから行う締め付け作業に合ったトルク値を入力して作業を始めます。ボルト・ナットなどを締め付けたのち設定したトルク値に達したら、音や画面の色の変化などで知らせてくれる商品もあります。
データをパソコンなどと連携させる場合
近年のデジタルトルクレンチの中には、パソコンやアプリとデータを送受信させて使う製品も多くなっています。
使用するデジタルトルクレンチの専用ソフトやアプリを、パソコンまたはスマートフォンの機器に事前にインストールしておきます。デジタルトルクレンチを使用する際に、ソフトやアプリなどを起動して機器とデータ接続します。
機器同士の接続時にはBluetooth等のペアリングを忘れずに行いましょう。接続ができたら作業手順や適正なトルク値を設定して、締め付け作業を開始します。
おすすめのデジタルトルクレンチ4選
デジタルトルクレンチにはたくさん種類があるため、どれを使ったらいいのか迷う方も多いでしょう。おすすめのデジタルトルクレンチをいくつか紹介します。何を使おうか、どんな製品を買おうか迷っている人は参考にしてみて下さい。
ktc トルクル
ktc(京都機械工具株式会社)の「トルクル」というデジタルトルクレンチは、今使用している工具に取り付けが可能な製品です。自分の愛用の工具に取り付けて使用可能なので、トルク管理のために不慣れな新しい工具を導入する必要がありません。
専用のアプリと接続することで、行った作業の記録を自動でしてくれます。次回の作業を円滑に進めるために、作業記録の分析をシステムが行ってくれる優れものです。作業工程の管理や改善にも役立ちます。
ktc デジラチェ Type rechargeable(充電式)
kctから発売されている「デジラチェ」の充電式タイプは、工具と測定機能が一体になっているデジタルトルクレンチです。
従来は珍しかった充電式トルクレンチで、USB端子との接続でも充電可能です。音と光でトルク値を知らせてくれる仕組みです。また、本体のグリップ部分に力の感知が可能なセンサーも搭載しており、より精密なトルク値の管理が期待できます。
トルク値の設定を5件まで登録できるので、多数の作業を並行して行うのにも長けています。
TOHNOCHI デジタル型トルクレンチ トルク範囲20〜100 CEM100N3X15D
東日製作所が製造・販売している、トルク範囲20〜100(N・m)に対応したデジタルトルクレンチです。LEDライトが付いた液晶ディスプレイを搭載していて、暗い時間や作業場所が暗く手元が見えにくいような場所でも安心です。
耐久性が高いアルミで出来た工具です。専用の無料ソフトで、Excelでの作業データ管理を行える仕様になっており、USBで本体の記録を出力しパソコンでソフトと繋いで使いましょう。EUの適合基準値を満たしている証であるCEマークが付いていて、EU圏内でも工具として使用可能です。
SK11 デジタルトルクレンチ SDT3-060
藤原産業株式会社のSK11 デジタルトルクレンチ SDT3-060も、おすすめのデジタルトルクレンチのひとつです。設定したトルク値になると、気付きやすいブザー音とLEDを使用した光で知らせてくれます。
設定するトルク値と、測定トルク値を簡単に単位換算できる優れものです。また、ボルトの回転方向が左右どちらであろうとも、測定できるようになっています。オートスリープ機能搭載ですので、約2分間作業していない時間があると自動で電源が切れます。
まとめ
今回の記事では、デジタルトルクレンチの機能や使い方、おすすめのデジタルトルクレンチを紹介しました。製品によって機能は異なるので、作業内容やレンチに求める機能を踏まえて、自分に合った製品を購入・使用しましょう。
現場市場では、今回紹介したデジタルトルクレンチをはじめ、多様な工具を販売しています。DIYや工場作業などで工具をお探しの方は、ぜひ一度オンラインショップを覗いてみてください。
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この記事を書いた人
ヤス
愛車はシトロエンC3。前職は家具メーカーのECサイト運営。現場市場の企画・撮影を担当。知られざる「現場にあると嬉しいモノ」を知ってもらうことを目的に活動中。休日の日課はもちろん洗車です!
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ヤスのコメント
締め付け具合を数字として確認できるデジタル技術は改めて凄いなと思います。
最近ではスポーツの場面でもデジタル化が進んでいて例えばサッカー判定が人間の審判の補助として機械で判定するという技術が使われています。
過去にはミリ単位の判定が必要になった際にこの機械判定で正確な結果を証明したこともあります。
上司の機嫌もデジタル数字で見れればいいのになと思う今日この頃です。