モンキーレンチの使い方を解説!スパナや六角レンチとの使い分け方とは?
モンキーレンチは、ひとつの工具で複数のサイズのナットやボルトを締めたり緩めたりできる工具です。シンプルな構造で使いやすいため、DIYの初心者からプロの作業者まで多くの人が愛用しています。
一方で、ボルト・ナットを締める工具は他にもあるため、他の道具との使い分けがよく分からないという方も少なくありません。そこで今回の記事では、モンキーレンチの使い方、スパナや六角レンチといったほかの工具との使い分けについて紹介します。
モンキーレンチとは?
モンキーレンチは、DIYからプロの現場まで幅広く使われる万能な工具です。モンキーレンチは、さまざまなサイズのボルトやナットを締めたり緩めたりできるのが特徴です。まずは、モンキーレンチの基本的な構造や、スパナ・レンチとの違いについて紹介します。
モンキーレンチの基本的な構造
モンキーレンチは、大まかにいうとハンドル、上アゴ、ジョー(下アゴ。以下ジョーと呼ぶ)、スクリューから成り立っています。
● ハンドル:持ち手で、手にフィットするようにデザインされている
● 上アゴ:ナット・ボルトを挟む片方の部位。こちらはハンドルと固定されている
● ジョー:ナット・ボルトを挟むもう片方の部位で、こちらはスクリューを回して上アゴとの間隔を調節できる
● スクリュー:回すとジョーの位置をスライドさせられる
このようにスクリューを回すことでレンチの開いた部分のサイズを調整できます。ジョーの角度は15°もしくは23°に設定されており、狭い場所でも使いやすい構造です。
モンキーレンチとスパナの違い・使い分け
モンキーレンチとスパナは、どちらもボルトやナットを回すための工具ですが、使い方や構造に違いがあります。スパナは固定サイズの口径を持ち、特定サイズのボルトやナットに対応します。
一方、モンキーレンチは口径部が調整可能で、様々なサイズに対応可能です。スパナは特定サイズのボルト・ナットを締めるときに強いトルクを発揮し、しっかりと締め付けることができます。一方で、モンキーレンチは様々なサイズのボルトやナットを扱う場合に便利です。
モンキーレンチと六角レンチの使い分け
六角レンチは、六角形のネジ穴が開いたボルト・ナットを回すのに特化した工具です。L字型のシンプルな形状で、自転車のメンテナンスや家具の組み立てに使用されます。ネジ穴にさして使用する工具なので、ネジ穴が六角形かつ、六角レンチとネジ穴のサイズを合わせる必要があります。
一方、モンキーレンチは穴の形状にかかわらず、ネジ山部分が六角形のボルト・ナットであれば締め付け作業が可能です。例はあまり多くありませんが、四角形のボルト・ナットでも対応できます。
逆に、穴が六角形でも、ネジ山自体が円形ですとモンキーレンチでの締め付けには不向きです。使用するボルト・ナットの形状に応じて、六角レンチとモンキーレンチをうまく使い分けましょう。
モンキーレンチの使い方
モンキーレンチは使いやすい工具ですが、正しい使い方を知ることでさらに効果的に使用できます。ここでは、基本的な操作方法や安全に使うためのポイントを紹介します。
モンキーレンチのサイズ調節方法
ボルトやナットのサイズを確認し、スクリューを回してジョーの開き幅を調整しましょう。ジョーが適切にフィットするように調整し、緩すぎる、あるいはきつすぎることのないように注意してください。
まず、大まかにボルト・ナットよりわずかに広めの間隔に調節して、その後締め付けるボルト・ナットに当てて細かく調節すると、フィットする開き幅に設定できるでしょう。
モンキーレンチの持ち方
モンキーレンチのハンドルをしっかりと握り、力を均等にかけることが重要です。握る位置はハンドルの中央付近が理想的です。締め付けるときの力が適切にボルト・ナットに伝わり、効率よく作業を行うことができます。また、力が全体にほどよく分散し、ボルトやナットを傷めるリスクを減らします。
モンキーレンチでの締め付け作業
モンキーレンチを使った締め付け作業では、ジョーがボルトやナットにしっかりフィットしていることを確認し、締め付けをおこないます。締め付ける際にはゆっくりと、均等な力がかかるように丁寧にレンチを回していきましょう。
また、複数のボルト・ナットを締め付けるときは、まずそれぞれのボルト・ナットを緩く締めたうえで、改めて最終的な締め付けを行った方が、スムーズに作業を進められる場合があります。
締め付け作業をするボルト・ナットの順番
ボルトやナットを複数同時に締め付ける作業では、締めるボルト・ナットの順番にも気を配りましょう。次のように締め付けを進めると、作業効率や精度を高められます。
軽く締める
すべてのボルトやナットを軽く手かレンチで締めます。家具製作などで、別々の素材をボルト・ナットで固定する場合、まずは各所を軽く締めることで簡易的に材料が固定され、後続の作業を進めやすくなります。
最終的な締め付けは対角線を意識して進める
続いて各ボルトを固く締め付けます。円形や多角形の周囲にボルト・ナットを締め付けるときは、対角線上で順番に締め付けていきましょう。そうすることで、特定個所に強い力がかからずに済むため、製品やボルト・ナットの耐久性を高められます。
モンキーレンチの保管・メンテナンス方法
モンキーレンチは、適切な保管とメンテナンスを行うことで、長く快適に使用することができます。清掃・潤滑・保管それぞれのポイントはつぎの通りです。
清掃
使用後はモンキーレンチをきれいに清掃し、汚れや油を取り除きます。ジョー部分の汚れは、締め付け精度に影響を与えるため、丁寧に拭き取りましょう。
メンテナンス
定期的に可動部分に潤滑油を塗布することで、ジョーの動きがスムーズな状態を保ちます。これにより、工具の寿命を延ばすことができます。また、防サビスプレーを定期的に塗布すると、サビからモンキーレンチを守り、工具を長持ちさせられるでしょう。
保管
モンキーレンチは、湿気の少ない乾燥した場所に保管することが重要です。工具箱や引き出しの中に保管することで、錆びを防ぎ、工具を長持ちさせることができます。定期的に状態をチェックしましょう。ジョーやスクリューのがたつきがないか、そのほかの摩耗、損傷がないかを確認してください。
モンキーレンチの選び方
モンキーレンチには様々な種類があり、用途に応じて適切なモデルを選ぶことが重要です。ここでは、選び方のポイントを紹介します。
サイズ・重量で選ぶ
モンキーレンチのサイズと重量は、作業内容に応じて選ぶべき重要な要素です。JIS規格では、次のように最大の開きとトルクの強さにより分類されています。
呼びサイズ | 最大口開き | 締め付けの強さ(H級) |
---|---|---|
100 | 13mm | 60.8N・m |
150 | 20mm | 142.2N・m |
200 | 24mm | 274.6N・m |
250 | 29mm | 460.9N・m |
300 | 34mm | 784.5N・m |
375 | 44mm | 1471.ON・m |
一般的な作業には250mm前後のモデルが適しています。自動車整備などでは長い全長のモデルを使用して、しっかりとボルト・ナットを締め付けた方がよいケースもあります。個人のDIY作業などには、軽量・小型のモデルが使いやすいでしょう。
材質や耐久性で選ぶ
モンキーレンチの材質や耐久性も選び方の重要なポイントです。高品質のスチール製モデルは耐久性が高く、長期間使用できます。頻繁に使用する場合は、耐久性のあるモデルを選ぶことで、長期間使用し続けられます。
対応可能なボルト・ナットの口径サイズで選ぶ
締め付け作業を行うボルト・ナットの口径サイズを合ったものを選びましょう。
調整範囲が広いモデルは汎用性が高く、様々なサイズに対応できるため便利ですが、それでも対応できるボルト・ナットの最大口径は規格により異なります。ボルト・ナットのサイズを確認したうえで、適した製品を選んでください。
その他の着眼点
モンキーレンチを選ぶ際には、ここまで紹介したポイントに加えて次のポイントに注目すると、より適した工具を選ぶことができます。
価格とコストパフォーマンス
高品質なモンキーレンチは価格が高めですが、耐久性に優れている幅広いサイズのボルト・ナットに対応しているなどの利点がある場合もあります。コストパフォーマンスを踏まえて適切な製品を購入しましょう。
機能性
特定の作業に適した付加機能を持つモデルもあります。自分が必要とする機能が備わったレンチを選べば、さらに作業効率を高められるでしょう。
ブランドと評価
信頼できるブランドから選ぶことで、品質や耐久性に優れた製品を手に入れることができます。他のユーザーのレビューや評価を参考にして、信頼のおける製品を選びましょう。
まとめ
モンキーレンチは、汎用性の高さと使いやすさから多くの作業現場で愛用されています。正しい使い方や適切なモデルの選び方を理解することで、作業効率を大幅に向上させることができます。作業内容や環境に応じて最適なモンキーレンチを選び、安全かつ効果的に作業を行いましょう。
現場市場では、今回紹介したモンキーレンチをはじめとした幅広い工具を取り扱っています。工具の交換・新調を検討している方は、ぜひ現場市場のオンラインショップをご利用ください。
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この記事を書いた人
ヤス
愛車はシトロエンC3。前職は家具メーカーのECサイト運営。現場市場の企画・撮影を担当。知られざる「現場にあると嬉しいモノ」を知ってもらうことを目的に活動中。休日の日課はもちろん洗車です!
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ヤスのコメント
身近な工具として必需品のモンキーレンチ。その名前の由来が気になりますよね。工具の頭部形状が猿の横顔に似ているからとする説や、発明者の名前がそのまま工具の名前になったという説など複数あるようです。ジョーは、「顎」の英語である「jaw」からでしょうね。jawなんて学生時代に習った記憶がないですがきっと習ったんでしょう。ちなにみ私はモンキーレンチを使うときは「締めるんだジョー!!」と(心の中で)叫んでいます。