配管に使う継手の種類を用途ごとに紹介！

日立 ソケット 呼び径(A)20 呼び径(B)3/4 S-20A

ソケットとニップルはパイプを直線で繋げるための継手です。
ソケットは外ネジと外ネジのパイプを、ニップルは内ネジ同士を繋ぎ合わせるために使います。

主に給排水管や空気配管の延長や修理時の一部交換に使用され、構造が単純で施工が容易であり部品も安価で入手しやすいのが利点です。また、短い区間の継ぎ足しや仮設配管にも適しています。

ただし方向転換や分岐といった複雑な配管には対応できず、用途が直線接続に限られる点は留意が必要です。

日立 Lタイプエルボ L-20A

エルボはパイプとパイプを90°で接続する継手です。
エルボは外ネジ同士、ストリートエルボは外ネジと内ネジを繋ぐ際に用いられます。
壁に面して直線で繋げないような場所で配管するために使用されています。

壁際や機器周辺など直線で配管できない場所で用いられ、省スペースで確実な方向転換が可能です。45°タイプを使えば緩やかな方向変更にも対応できます。

施工性が高く、既存設備のレイアウト変更時にも便利です。一方で流体抵抗が増えて圧力損失や詰まりの要因になるため、配管経路の計画段階から配置を検討することが重要です。

日立 チーズ 呼び径(A)20 呼び径(B)3/4 T-20A

チーズ継手は、3本のパイプをT字に繋げるために使われます。
流体や直管を分岐させたい時に使用します。

チーズというちょっとユニークな名前の由来は諸説ありますが、T字やTeesが転じたものだとされています。

給水管やエア配管の分岐、工場配管での複数設備への供給などで多用されます。一度に複数方向へ流れを振り分けられるため施工効率が高く、省スペースで分岐を実現できます。

ただし分岐方向の流体抵抗が大きく圧力低下が生じやすいので、流量バランスを事前に計算し、必要に応じてバルブや絞りを併用することが推奨されます。

日立 ブッシング 呼び径(A)20×15 BU-20AX15A

ブッシングは径が異なるパイプ等を繋げるときに使用します。
ブッシングは外ネジと内ネジの接続に使います。

機器接続口径の調整や改修時のサイズ変更に便利で、異径接続をコンパクトに仕上げられます。特に狭い場所や既存配管の途中改造で役立ちます。金属・樹脂製など素材も選べ、幅広い環境に対応可能です。

ただしネジ部が薄くなるため、耐圧性は同径接続に比べてやや劣り、過大なトルクをかけると破損の恐れがあります。

イノック クロス(ステンレス)

X（クロス）の文字のように、4本のパイプを接続する時に使用します。
サイズの違うパイプを繋げる時は、「径違いクロス」を選びましょう。

一つの部品で四方向への分岐が可能で、複雑な配管網を省部品で構築できます。径違いタイプを使えば異径配管の同時接続も可能です。

大量の分岐が必要な工場や装置に有効ですが、構造が複雑で不要な方向を塞ぐ場合はキャップやプラグなど追加部品が必要になります。また、分岐数が多い分、流体抵抗も増えるため流量計画が重要です。

日立 組フランジ F-32A

ドーナツ型の板でパッキンを挟んで、ボルトとナットを使って固定する継手です。
強度と作業性に優れ、高温・高圧用の配管で用いられています。

大型配管や高温・高圧条件での接続に適し、強度・シール性が高く再利用も容易です。定期点検や内部洗浄が必要なラインでも活躍します。

パッキン材質を変えることで耐薬品性や耐熱性も確保できます。ただし部品が大型で重量もあり、施工には十分なスペースと人員、適切な締め付け管理が求められます。

日立 ユニオンF形 呼び径(A)20 呼び径(B)3/4 U-20A

ユニオンねじ・ユニオンつば・ユニオンナットからなる継手で、繋ぎ合わせるパイプをそれぞれユニオンねじ、ユニオンつばに取り付けてナットを回して固定します。

圧力や温度の低い流体の配管に使われています。

メンテナンス頻度が高い箇所や、可搬性が求められる仮設配管で重宝されます。分解・再組立が容易で、部品交換時の作業効率を向上させます。

金属製・樹脂製があり用途に応じて選択可能ですが、高圧・高温流体には不向きで、長期使用ではナット部の摩耗やシール性低下に注意が必要です。

ヘルール（またはフェルールとも）は、ヘルール・ガスケット・クランプの3つのパーツで構成された継手です。
ヘルールにある溝にガスケットを噛ませて、クランプを締めて固定します。

食品や医薬品など、衛生管理が厳格な現場で使わる継手です。

衛生管理が求められる食品・製薬・化粧品工場などで広く使用されます。分解や洗浄が容易でCIP（定置洗浄）にも対応可能です。

組立時の工具が不要なため現場での作業性も高いですが、クランプの締め付け不足やガスケットの劣化による漏れが起こりやすく、定期的な点検・交換が不可欠です。

チヨダ 流量調整弁付カップリングプラグ R1/4 FRP-02

カップリングはパイプを直線接続するための継手です。
ソケットなどとの違いは、ボルトを締めて固定すること。
そのためシール性が高く、パイプが抜けにくいのが特徴です。

油圧・空圧ラインなど、頻繁な着脱や切り離しが必要な配管に使用されます。高いシール性と抜け止め機構で安全性が高く、作業効率を向上させます。

ワンタッチ式やねじ込み式などタイプが豊富ですが、構造が複雑でコストが高く、振動や衝撃で接続部が緩む可能性もあるため、使用環境に合った選定が重要です。

日立 プラグ P-20A

キャップとプラグは、パイプの穴を塞ぐために使われます。
キャップが外ネジ、プラグは内ネジのパイプに用いられています。

未使用配管口の閉止や耐圧試験時の仮封などで用いられます。取り付け・取り外しが容易で部品も安価、短期的な閉止に適しています。

素材やコーティングによって耐食性を高められますが、長期使用では腐食やシール劣化の恐れがあり、恒久的な閉止には他の方法を検討する必要があります。

配管の向きを変える継手としては「エルボ継手」を使用するのが一般的です。典型的なエルボ継手はL字型をしていて、配管の向きを直角に変えられます。他には、45度に曲がったエルボ継手もあるので、どのように方向を変えたいのかを踏まえて、適した継手を使用してください。

ブッシュ・レジューサーは直径が異なる二つの管をつなぐときに使用します。一つでは調整しきれないときにはサイズの異なる二つのブッシュ・レジューサーをつなげて調整する場合もあります。ちなみに直径が同じ管同士をつなぐときには「ニップル」・「ソケット」という継手を使用するのが一般的です。

T字に分岐・合流する管の接続にはチーズを使用します。また、枝分かれ分岐・合流においてY字の継手も使用します。そのほか、四方に分岐する部分には「クロス」を使用してください。

塩ビ（ポリ塩化ビニール、PVC）は、強度に優れ成形しやすく価格もリーズナブルであることから継手だけでなく作業現場で使われる様々な道具に使用されています。

継手としては硬質ポリ塩化ビニールが使われ、水道や給排水など、常温〜６０℃くらいの流体に使われています。
溶剤には弱いので耐熱性加工を施したものか、ステンレス等他の素材を使用した継手を選びましょう。

ステンレスは高耐食性で頑丈なことから、継手や配管に広く用いられている素材です。
建築・プラント・科学設備・食品・油・染色など、様々な設備の配管に使用されています。

SCS13（SUS304相当）のものは原子炉にも使用されます。

可鍛鋳鉄とは、溶かした鋳鉄を急冷した後に焼鈍した素材です。
黒心可鍛鋳鉄は普通鋳鉄の倍近くの強度があり、ガスなどの気体・高温の蒸気・油などの流体移送に適しています。

耐腐食性が高く錆びにくい継手を使いたいなら、黒心可鍛鋳鉄の表面にめっき加工したものをおすすめします。

砲金（青銅）は銅と錫からなる合金で、強度・高度共に優れた素材です。
鉄よりも錆びにくいので、冷温水・給湯はもちろん海水のような腐食性の高い流体にも使用できます。

銅管を使った継手は、耐食性・対凍結性に優れていることから給排水・給湯・冷却水の移動に使われています。
可撓性（しなやかな柔軟性）も高く、電気工事の際の配管にも銅管継手が使われています。

真鍮（黄銅）は、銅と亜鉛の合金です。5円玉の素材もこの真鍮で作られています。
水回りの配管、特にトイレの配管で使用されることが多いのが真鍮継手の特徴です。

溶融亜鉛メッキで表面加工がされている継手です。カドミウムや鉛など人体や環境に有害な物質を使用していないため、安全性が高いのも特徴の一つ。中水、工業用水、冷温水、冷却水、消化用水、ガス、空気、油に利用できます。
ちなみに、溶融亜鉛は亜鉛を高温に溶かして継手を浸してメッキにする製造方法です。防さびや防腐効果が期待できます。

黒心可鍛鋳鉄で作られた継手です。鋳造後に湯口や押湯といった余計な部分を丁寧に除去する「鋳放し」が施されています。一方で、メッキ加工などの表面処理はされていません。冷温水、冷却水、消化用水、蒸気、ガス、空気、油に使用可能です。

文字通り特殊な樹脂でコーティングされた継手です。樹脂は高温で溶け出してしまうため、40度以下の流体でなければ使用できません。中水、工業用水、冷温水、冷却水、消化用水と、水を通すときに使用できます。

ねじ込みタイプは、継手や配管端部に切られたねじを回し込んで接続する方法です。レンチなど一般的な工具で施工でき、溶接のような熱加工を必要としないため現場作業の負担が少なく、補修や交換もしやすいのが特長になります。

小口径や仮設配管に適しており、施工性の高さと手軽さが大きな利点です。一方で、高圧や高温、強い振動が加わる環境ではシール性の低下や緩みが生じやすく、長期的な信頼性にはやや劣ります。

そのため、空気や水など低圧の一般配管での使用に向いています。

溶接接続は、高温で金属を溶かして配管と継手を一体化させる方法で、差込み溶接（ソケットウェルド）と突合せ溶接（バットウェルド）の2種類があります。

接続部は強度と気密性に優れ、耐圧性や耐振動性も高く、長期使用や過酷な環境下でも安定した性能を発揮します。ただし、施工には溶接機や専用工具が必要で、作業には熟練した技術も求められるため、コストや工期が増える場合があります。

高圧蒸気や化学薬品ラインなど、信頼性が求められる配管に適しています。

フランジ接続は、端部に取り付けたフランジ同士でガスケットを挟み、ボルトとナットで締め付けて固定する方法です。

大口径や高圧配管にも対応でき、分解や再組立が容易で、定期点検や部品交換が頻繁な設備で特に有効です。

ガスケット材質を選ぶことで耐熱性や耐薬品性も確保できるのが利点です。ただし、部品点数が多く重量もあり、設置には十分なスペースと人員が必要で、コストも比較的高くなります。

化学プラントや高圧蒸気ラインなど、大規模かつ重要な配管システムに適しています。