接着剤の状況別、種類別の効率的な剥がし方!肌や手がくっついたときの対処法

素材同士をくっつける接着剤は、家具などの修繕やDIYなどで重宝する製品です。強力なものほど活躍する場面が多い反面、誤って意図しない場所にくっつけてしまうトラブルもしばしば発生します。
また、指同士がくっついてしまったときに、無理に剥がそうとして肌を傷つけてしまう心配もあります。そんなときのために、接着剤を安全に、素材や肌を守りながら剥がす方法を理解しておくと安心です。今回は、素材の種類や状況別の接着剤の剥がし方をまとめました。この記事を読んでおけば、もしもの接着剤トラブルの際にも冷静に対処できるでしょう。
INDEX
- 1.接着剤の剥がし方の基本
- 1-1.機械的剥離|衝撃や力を加えて剥がす
- 1-2.化学的剥離|薬剤を使用して剥がす
- 1-3.物理的剥離|熱や水などで剥がす
- 2.状況別・素材別の接着剤の剥がし方
- 2-1.手や指など肌についた接着剤を剥がす
- 2-2.衣服についた接着剤を剥がす
- 2-3.プラスチックについた接着剤を剥がす
- 2-4.金属についた接着剤を剥がす
- 2-5.木材についた接着剤を剥がす
- 3.接着剤の種類別の剥がし方
- 3-1.アロンアルファなどシアノアクリレート系瞬間接着剤
- 3-2.水性・木工用接着剤
- 3-3.エポキシ樹脂系接着剤
- 3-4.ホットメルト系接着剤
- 3-5.溶剤系(セメント)接着剤
- 3-6.変成シリコーン系強力接着剤
- 3-7.合成ゴム系接着剤
- 4.まとめ
接着剤の剥がし方の基本

接着剤の剥がし方には、主に「機械的剥離」「化学的剥離」「物理的剥離」の3つのアプローチがあります。素材や状況に応じて適した手段を活用して、接着剤をうまく剥がしましょう。まずは、それぞれの方法について簡単に紹介します。
機械的剥離|衝撃や力を加えて剥がす
機械的剥離とは、衝撃や力を加えて、結合部分を切る・削る・引き裂くなどして剥がす方法をいいます。たとえば、ヘラやスクレーパーなどを使って、結合した二つの素材を物理的に引き剥がすのが一つの方法です。
剥がした後に、サンドペーパーで結合部分についた接着剤を削れば、あまり跡をのこさずに済みます。金属やガラスのように硬くて傷が目立ちにくい素材に適した手法です。
工具が揃っていれば比較的手軽に実行できるため、DIYなど家庭での作業時には、しばしば取り入れられます。ただし、破損したり傷が残ったりするリスクがあるため、柔らかい素材に対して実行するのは避けましょう。作業時には手袋をするなどして防護し、うっかり手指などをケガすることのないように注意してください。
化学的剥離|薬剤を使用して剥がす
化学的剥離とは、接着剤の成分を化学薬品で分解・溶解して剥がす方法です。接着剤の素材に合わせて適切な剥がし剤を使用すると、比較的容易に接着部分を剥がせます。
剥がし液には、次のようにさまざまな種類があります。
- アセトン・DMFなどのシアノ系
- 塩素系/界面活性剤混合液などのエポキシ樹脂系
- ウレタン樹脂系のアルコール
- トルエン系
- 有機溶剤系
たとえば、多くの瞬間接着剤やゴム系接着剤には、アセトン系の剥がし剤が効果を発揮します。ただし、接着剤の成分や接着している素材によっては適合しない剥がし剤もあるので、事前に素材の適合性を確認しましょう。
一例をあげると、有機溶剤やトルエン系の剥がし剤は、プラスチックを溶かしてしまうため、プラモデルなどプラスチックについた接着剤を剥がすのには使用できません。
また、多くを吸入すると身体に良くなかったり、可燃性の薬品もあります。化学的剥離を実行するときには、必ず換気を行い、さらに火の気のないところで作業を実施してください。
物理的剥離|熱や水などで剥がす
熱や水分によって接着剤の性質を変化させて、接着機能を失わせて除去する方法です。たとえば、グルーガンによる接着なら、ドライヤーなどで再加熱すれば軟化して剥がすことができます。
そのほか水性接着剤は水に溶けるので、長時間ぬるま湯やお湯で濡らせば剥がせます。ドライヤーやアイロンなど、一般にある家電製品で作業を進められるのが特徴です。
大きく分けて4つの方法があります。
| 加熱法 | ドライヤーなどで60〜90度の熱を加える。グルーガンのようなホットメルト接着剤やシアノ系の接着剤を剥がせる。 |
|---|---|
| 温水法 | 煮沸した熱湯に浸して剥がす。エポキシ樹脂系接着剤に有効。 |
| 低温剥離法 | -10度以下に冷やした後に力を加えて剥がす。 |
| 水浸漬法 | 水に1日〜数日漬けて剥がす。 |
接着された素材の耐熱・耐水性を確認したうえで、適切な手段を取りましょう。たとえば、水に漬けると変質するおそれのある素材の場合は水浸漬法は選択できません。
状況別・素材別の接着剤の剥がし方

接着剤を剥がすときには、付着した「素材」と「状況」に応じて適切な方法を取る必要があります。適切な方法を取ることで、素材の変質や破損を最小限に留めるとともに、ケガ・事故を防ぐことができます。ここでは、以下の代表的なケースの剥がし方をまとめました。
手や指など肌についた接着剤を剥がす
手や指などの肌についた接着剤は「物理的剥離」の応用で、ぬるま湯と石鹸でやさしく洗い流すのが基本です。力任せにはがそうとすると皮膚が剥がれてケガをしてしまうリスクがあるので、絶対に避けましょう。
お湯だけでは取れないなら「科学的剥離」も取り入れて、アセトン入りの除光液や、ハンドクリーム、ベビーオイルなどを使って少しずつ剥がします。これらはもともと人体に使用する薬品であるうえ、接着能力を失わせる力を持つため、安心して使用可能です。
それでも除去できないときには、無理に自分で対処せずに、皮膚科を受診するのが安全です。また、目や口など粘膜部位に付着した場合には、すぐに専門の医療機関を受診してください。
衣服についた接着剤を剥がす
衣服についた接着剤を剥がすときには、衣服に影響が出ないように注意を払うことが大切です。水性接着剤の場合は「物理的剥離」の応用で、中性洗剤を加えたぬるま湯に浸してからこするだけでも落とせます。
熱に弱い接着剤に対しては、アイロンを使用して溶かすのも一案です。60度程度の低温に設定して、接着部をガーゼで包んで上からアイロンを当てると、接着剤が溶けて除去できる場合があります。瞬間接着剤に対しては、アセトンを使用して溶かす「化学的剥離」が有効です。
「洗剤で洗う」「アイロンで温める」「薬品を使用する」のうち、どの方法が色落ちや繊維へのダメージといった影響が少ないか、確認したうえで実行するのが得策です。高価な衣類や特殊繊維・デリケートな素材を使用した衣服については、無理に自力で対処せずに、クリーニング業者に相談しましょう。
プラスチックについた接着剤を剥がす
プラスチックは、比較的薬剤によって変質・溶解するリスクがある素材が多いため、アセトンなどの強力な剥がし剤は使用できません。まずはぬるま湯や蒸しタオルを使用した「物理的剥離」での引き剥がしを検討しましょう。
物理的剥離が難しい場合には、ヘラやサンドペーパーを使用して接着部を引き剥がしましょう。無理な力を加えて素材が破損しないように、慎重に作業を進めてください。剥離後に断面をサンドペーパーで整えれば、あまり跡を残さずにすむでしょう。
金属についた接着剤を剥がす
金属は、頑丈で耐薬品性・耐熱性も高いため、さまざまな手法が選択できます。あまり強力な接着剤でないようならヘラなどを使用した「機械的剥離」で対処可能なケースも少なくありません。剥離後は目の細かいサンドペーパーを使用して断面を整えるとよいでしょう。
接着剤が強力な場合は「化学的剥離」を試してみましょう。アセトンなどを使って接着剤を溶かしてヘラで剥がしていきます。また、ドライヤーなどを使用して加熱した後に剥がす「物理的剥離」も有効です。
お湯で接着剤を溶かす剥離法は、素材や金属の保護状況によっては錆などの原因になるリスクがあります。実行前に、金属がお湯や水分に強い素材であるかを確認しましょう。
木材についた接着剤を剥がす
木材は水分や薬剤を吸収しやすく、変形や変色の恐れがあるため、慎重に剥がし方を検討する必要があります。瞬間接着剤に対しては、木材が充分頑丈であれば、ヘラやサンドペーパーなどを用いた「機械的剥離」が最も素材へのダメージを抑えられる可能性があります。
また、接着剤が水性であれば、水で湿らせてふやかし、こすって除去する物理的剥離が有効です。以上の方法で除去できない場合は、アセトンなどの剥がし剤を使用しましょう。木材本体だけでなく、木材に塗布された保護剤への影響にも注意を払う必要があります。
剥がし剤によって木材の保護剤が剥がれた場合には、再塗装することで木材を長持ちさせられるでしょう。
接着剤の種類別の剥がし方

続いては、次の接着剤の種類別の剥がし方をまとめました。
- アロンアルファなどシアノアクリレート系瞬間接着剤
- 水性・木工用接着剤
- エポキシ樹脂系接着剤
- ホットメルト系接着剤
- 溶剤系(セメント)接着剤
- 変成シリコーン系強力接着剤
- 合成ゴム系接着剤
接着税に合った剥がし方を取り入れて、素材を守りながら、安全に作業を進めましょう。
アロンアルファなどシアノアクリレート系瞬間接着剤
アロンアルファのような瞬間接着剤は、水分と反応してすぐに硬化するため、皮膚や布、金属などに付いたら早めに対処しましょう。アセトン入りの剥がし剤が有効で、布や綿棒に含ませて接着部に当て、軽くこすれば剥がれます。
皮膚についた接着剤を剥がす場合は、一般にアセトンが含まれる除光液を使用しましょう。皮膚のダメージや肌荒れを防ぐために、剥がした後は保湿クリームなどでアフターケアをしてください。
水性・木工用接着剤
水性・木工用接着剤は乾くのに時間がかかるため、できるだけ乾く前に対処してしまいましょう。乾く前なら水で拭くだけで除去可能で、手間がかかりません。
乾燥した後の場合は、多くの場合接着部をぬるま湯でふやかすと剥がせます。接着力が強い場合には、ぬるま湯への浸け置きや蒸しタオルで対処可能です。
必要に応じて、ヘラやマイナスドライバーを使用して、結合した素材を引き剥がしてください。ほとんどの場合において、特殊な薬品等を使用することなく剥がすことができます。
エポキシ樹脂系接着剤
エポキシ樹脂系接着剤は非常に強力で、基本的には硬化前に対処するのが得策です。硬化前であれば専用のエポキシリムーバーやアルコール、エタノールを塗布すれば、引き剥がせる可能性があります。
硬化後は引き剥がしが困難なので、そのままでも重大な影響がない場合には、あきらめるのも一つの考えといえます。
どうしても引き剥がす必要がある場合には、サンドペーパーやカッターなどを使用した機械的剥離の方法を取らざるを得ません。接着剤が強力なため手間がかかるうえ、素材に傷やゆがみなど一定の影響が出るリスクは避けられないでしょう。
ホットメルト系接着剤
ホットメルトは熱で溶かすタイプの接着剤です。再加熱することで柔らかくなり、剥がしやすくなります。
ドライヤーやヒートガンを使って温め、ヘラなどで取り除きましょう。素材が残った場合には、固まった後サンドペーパーなどで削り取れば、跡をあまり残さずに済みます。硬化して時間が経つほど表面に残りやすくなるため、作業はできるだけ早めに行うのが理想です。
接着した素材自体が熱に弱い場合には、ぬるま湯などにつけて時間をかけて柔らかくしたうえで除去しましょう。
溶剤系(セメント)接着剤
塩ビ管などの接着に使われる溶剤型接着剤は、素材を一部溶かして結合するため、薬剤で除去しようとすると素材の劣化を引き起こす恐れがあります。基本的には接着部を削って接合部分を剥がす方法を取らざるを得ません。
ヘラやカッターなどを隙間に差し込んで力をかけて、接合部分を引き離しましょう。その後、剥がれた部分をサンドペーパーなどで整えれば、素材への影響を抑えることができます。塗布部の素材を溶かす溶剤系接着剤の引き剥がしは、素材への影響が大きくなりがちなため、誤って塗布・接着しないように、慎重に作業を進めてください。
変成シリコーン系強力接着剤
建築用や防水用途でよく使用される変成シリコーン系接着剤は、一般に強力なため、除去するのが困難な接着剤です。有効な溶剤があまりなく、また耐熱性が高いため物理的剥離も効果が出にくいのが難点といえます。
基本的にはヘラやカッターなどを使用した機械的剥離を実行するしかありません。素材自体が破損してしまうことのないよう、慎重に作業を進めましょう。
合成ゴム系接着剤
靴底やゴムパーツなどに使われる合成ゴム系接着剤は、弾力性があるため剥がしにくいのが特徴です。アセトンやトルエン、シンナーといった有機溶剤で剥がすことが可能ですが、いずれも人体への悪影響が心配される薬品なので、慎重に作業する必要があります。
換気をしっかりと行い、火の気がないことを充分に確認したうえで、使用してください。また、有機溶剤を使用して問題のない素材であることを、事前に確認したうえで作業を進めましょう。
まとめ

接着剤を剥がすには、付着した素材や接着剤の種類に応じて、適切な方法を選ぶことが大切です。焦って無理に剥がそうとすると、素材の破損や肌トラブルを引き起こす原因になります。まずは状況を冷静に見極め、機械的剥離、化学的剥離、物理的剥離のどの方法が適しているのかを判断したうえで実行しましょう。
現場市場では、接着剤も接着剤を剥がすための工具や薬品も豊富に取り揃えています。まずは、状況に応じて適切な強度・材質の接着剤を使用することで、剥がすときのトラブルや手間を避けられるでしょう。剥がし剤や必要な工具を一通り揃えておけば、誤って接着してしまったときなどに冷静に対処できます。
現場市場のオンラインショップにて、接着剤を使用した作業を安全に進めるうえで必要なアイテムを揃えておきましょう。
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この記事を書いた人
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ヤス
愛車はシトロエンC3。前職は家具メーカーのECサイト運営。現場市場の企画・撮影を担当。知られざる「現場にあると嬉しいモノ」を知ってもらうことを目的に活動中。休日の日課はもちろん洗車です!
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ヤスのコメント
「うわっ、くっつけちゃった…!」
そんな焦り、誰でも一度は経験あると思います。
私も指がくっついて「え、これ一生このまま?」と焦ったことがあります!
みなさんもくっつけてしまったときは、ぜひ今回の対処法を思い出してみてください。