BCP対策とは?中小企業が最低限準備したいもの・具体例を解説

災害や感染症、サイバー攻撃などによって事業が止まると、売上や取引先との関係だけでなく、従業員の生活にも影響する可能性があります。
そこで重要になるのが「BCP(事業継続計画)」です。
BCPを策定しておけば、緊急事態が発生した際に「誰が何をするのか」「どの業務を優先するのか」をあらかじめ決めておけます。
この記事では、BCP対策とは何かをわかりやすく解説し、中小企業が最低限準備しておきたいものや具体例を紹介します。
1. BCP対策とは?
BCPとは「Business Continuity Plan」の略で、日本語では事業継続計画といいます。
災害や事故、感染症、サイバー攻撃などの緊急事態が発生した場合に、重要な事業をできるだけ早く再開し、事業を継続するための計画です。
例えば、地震によって会社の建物が使えなくなった場合
- 従業員の安否確認をどうするか
- どこで業務を続けるか
- 顧客や取引先へどう連絡するか
- 必要なデータをどう復旧するか
- どの業務を優先して再開するか
といったことを事前に決めておきます。
つまりBCP対策は、「緊急事態が起きても、会社の重要な業務を止めない・早く復旧するための備え」と考えると分かりやすいでしょう。
2. 中小企業のBCP対策で最低限準備したいもの
災害などの緊急事態に備えるには、従業員の安全確保や業務の継続に必要なアイテムを準備しておくことが大切です。
ここでは、中小企業が最低限備蓄しておきたいアイテムを紹介します。
非常食
災害によって物流が停止したり、従業員が帰宅できなくなったりした場合に備え、非常食の備蓄が必要です。
長期保存が可能で、調理せずに食べられる食品なら、停電やガスの停止時にも対応しやすくなります。
従業員数や想定する備蓄日数をもとに、必要な数量を確保することが大切です。
ヘルメット
地震による落下物や転倒物から頭部を保護するために使用します。
従業員全員が使用できるよう人数分を用意し、緊急時にすぐ取り出せる場所に保管することが重要です。
工場や倉庫などで使用する場合は、作業環境に適した保護性能を備えた製品が求められます。
ポータブル電源
停電時にスマートフォンやパソコン、通信機器などへ給電するためのアイテムです。
対応する機器に電力を供給できるため、緊急時の連絡手段の確保や業務の継続に役立ちます。
選ぶ際は、使用する機器の消費電力や必要な稼働時間に合わせて容量を確認する必要があります。
懐中電灯
停電時や夜間の避難、建物内の安全確認などに役立ちます。
電池切れや充電不足を防ぐため、予備の電池を備蓄し、定期的に点灯状態を確認することも大切です。
作業用手袋
災害後の片付けや設備の復旧作業では、破片や鋭利な部材などによって手を負傷するおそれがあります。
作業用手袋は、こうした作業中のけがを防ぐための保護具です。
切創対策や耐油性など、想定する作業内容に適した機能を備えた製品を選ぶ必要があります。
防じんマスク
建物の損傷や片付け作業などによって粉じんが発生する場合に、呼吸器を保護するために使用します。
粉じんの種類や濃度、作業環境に適した性能の製品を選ぶことが重要です。
また、十分な保護効果を得るためには、顔に合ったサイズを選び、正しく装着する必要があります。
ラジオ
災害時には、停電や通信障害によってインターネットなどから情報を得にくくなる場合があります。
電池式や手回し充電式のラジオがあれば、災害情報や避難情報などを確認する手段を確保できます。
予備の電池も用意し、緊急時に使用できる状態を保つことが大切です。
工具セット
災害後の設備点検や復旧作業などに備え、ドライバーやペンチ、レンチといった基本的な工具をまとめておくと便利です。
必要な工具がそろっていれば、対応可能な範囲の作業をスムーズに進められます。
救急セット
災害時のけがや急な体調不良に備え、応急手当に必要な用品をまとめた救急セットも欠かせません。
絆創膏やガーゼ、包帯などがそろっていれば、軽いけがへの応急処置に役立ちます。
保管場所を従業員に周知し、使用期限や不足品を定期的に確認することも重要です。
3. なぜ中小企業にもBCP対策が必要?
中小企業は、大企業と比べて人員や資金などの経営資源に余裕がないケースがあります。
そのため、災害などによって設備やデータ、従業員などに大きな影響が出ると、事業の再開までに時間がかかる可能性があります。
また、自社だけでなく、取引先や仕入先が被災することで事業が止まるケースもあります。
BCPを策定しておくことで、緊急時に必要な対応を整理し、限られた人員や設備をどの業務に優先して使うか判断しやすくなります。
4. BCP対策は義務化されている?
BCPの策定は、すべての企業に一律で義務付けられているわけではありません。
ただし、介護事業所では、感染症や自然災害に備えた業務継続計画(BCP)の策定に加え、計画に基づく研修や訓練などが義務付けられています。
現時点で義務化されていない企業でも、対策を後回しにするのは避けたいところです。
今後、制度が見直される可能性も考慮し、災害などの緊急事態に備えて早めに準備を進めておくことが大切です。
5. BCP対策の具体例
ここでは、実際に起こり得るケースを例に、どのようなBCP対策が考えられるのか紹介します。
地震が発生した場合
地震によって事務所が使用できなくなった場合は、まず従業員の安全を確認します。
その後、代替拠点やテレワークへ切り替え、重要な業務から再開できるようにします。
あらかじめ、
「事務所が使えない場合はどこで業務を行うか」
を決めておくことがポイントです。
停電した場合
停電によってパソコンや通信機器が使えなくなる場合があります。
非常用電源やモバイルバッテリーなどを準備し、最低限必要な機器を使える状態にしておきます。
また、長時間の停電を想定して、電源を使用する機器の優先順位も決めておきましょう。
サイバー攻撃を受けた場合
サイバー攻撃によって社内システムやデータが使用できなくなると、受注や生産、顧客対応などの業務が停止するおそれがあります。
そのため、重要なデータのバックアップに加え、被害発生時の対応手順やシステムの復旧方法を事前に整理しておくことが大切です。
製造業の中小企業で、メールをきっかけにウイルス感染
従業員約200人規模の製造業の中小企業が、メールの添付ファイルをきっかけにマルウェアやランサムウェアに感染した事例があります。
感染したメールアカウントは約100人分に及びました。
製造ラインの停止は避けられたものの、取引先に被害の影響範囲を説明するための調査が必要となり、調査費用だけで約500万円かかりました。
初期対応の手順を整備
前述の製造業の事例では、ウイルス感染発生時の対応体制や手順が整備されておらず、業務停止の判断などが難しい状況に陥りました。
このような事態を防ぐため、感染が疑われる端末の隔離、社内外への連絡、専門業者への相談、復旧の判断などを事前に決めておくことが重要です。
6. BCP対策を始めるときのポイント
BCP対策は、一度計画を作って終わりではありません。
実際に災害が発生したときに機能するか、定期的に確認することが重要です。
まずは、
「会社にとって重要な業務は何か」
「その業務を止める原因には何があるか」
「業務が止まった場合、どうやって復旧するか」
を整理してみましょう。
そのうえで、緊急連絡網や防災用品、非常用電源、データのバックアップなど、すぐに準備できるものから取り組むとよいでしょう。
また、訓練を行って実際に問題がないか確認し、必要に応じてBCPを見直すことも大切です。
7. まとめ
BCP対策は、災害や感染症、サイバー攻撃などの緊急事態が発生した際に、従業員の安全を守り、事業を継続・早期復旧するために重要な取り組みです。
中小企業では、非常食やヘルメット、ポータブル電源、懐中電灯などの防災用品を準備しておくことで、緊急時の安全確保や業務の継続に役立ちます。
また、BCPの策定がすべての企業に一律で義務付けられているわけではありませんが、義務の有無にかかわらず、万が一に備えておくことが大切です。
まずは自社に必要なアイテムを洗い出し、従業員数や業務内容に合わせて準備を進めましょう。
日頃から備蓄品の点検や防災訓練を行い、いざというときに対応できる体制を整えておくことが、事業を守ることにつながります。
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この記事を書いた人
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現場市場アンバサダーたけちゃん
現場市場TVにて現場市場アンバサダーとして出演中。
九州の色々な食事と温泉、様々なモノづくり現場や製品をこよなく愛する。
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