電圧計・電流計の使い方とは？正しい測定方法や注意点を解説

デジタル式の場合

デジタル式の電流計は、液晶表示形式になっていて、電流の値が瞬時にディスプレイに表示されます。実際には電流のみを測るデジタル測定器は少なく、電圧・抵抗なども計測できるデジタル式のテスターを「電流計」と表現している場合も少なくありません。

測定前には、スイッチを操作して電流測定モード（“A”印または“mA”印）に合わせます。測りたい電流の大きさに応じてレンジ選択を行います。特に計測した電流が最大レンジを振り切れると、機械の破損の原因となります。そのため、電流の大きさに目星が付かない場合は、大きなレンジから試すのが基本です。

赤いテスト棒を回路のプラス側、黒い方をマイナス側につないで測定します。このとき回路が「直列」になるようにつなぐよう注意しましょう。並列でつなぐとショート状態になり、機械の破損リスクがあるのみならず、火花の発生や発熱の原因となります。

回路をつないですぐは数字が動く場合があるので、電流の安定を待って表示値をしっかり確認しましょう。

デジタル式は、表示が非常に明瞭で見間違い等による測定ミスのリスクが低いのが利点です。一般に機器の経年劣化が進みにくく、小型軽量で扱いやすいのが特徴です。一方で、電流の強さが不安定な時には、数字が目まぐるしく動いて、おおよその電流の強さを把握しにくいというデメリットがあります。

アナログ式の場合

アナログ式電流計は、内部に電流を測るバネ・コイルなどの構造が組み込まれていて、電流に対して針が触れて電流の強さを示します。アナログ式は、電流測定のみに対応した機材が多いです。

まず、表示針がゼロ位置にあるか確認した上で、電流計を直列に組み込みます。赤・黒のテスト棒の指し方はデジタル式と同様で、赤をプラス、黒をマイナスに差し込みます。直列回路を形成する必要があるのも、デジタル式と同じ注意点です。

接続直後は針が左右に動くので、静止するまで待ちます。針の動きが安定したところで盤面の真上から目盛を読み取りましょう。

アナログ式は、電流が安定しないときでも、針の振れ幅でおおよその電流の強さや変化をつかめるのが特徴です。また、機器自体は電源がなくとも動作します。一方で、視線の角度や照明状態などで針の見え方が変わり、人によって若干測定結果に差が出る可能性がある点には、注意が必要です。

クランプメーターの場合

すでに繋がれた配線を切断できないときには、クランプメーターで電流を測定する方法もあります。クランプメーターは「クランプ」と呼ばれる開閉可能なセンサーで回路を挟むと、磁場を感知して電流を測定できる非接触式の測定機器です。

回路の状況を踏まえて、スイッチで交流（AC）または直流（DC）の電流測定モードを切り替え、クランプを電線に装着するだけで、瞬時に電流値が表示されます。

回路を切断せず通電中でも測れるため、感電リスクが小さく安全性に優れています。また継続稼働する工場の機械などは、そもそも稼働を停止して回路を切断すること自体に手間がかかる場合があります。そういったときには、クランプメーターが活躍します。

ただし、電線を複数本いっしょに挟むと正確な読み取りができない、微小な電流は測れないといったデメリットに注意が必要です。業務用の電力設備や工場の主電源回路など、高出力の回路の電流の保守・点検に役立ちます。

デジタル式の場合

電流計のところでも紹介した通り、「デジタル式電圧計」というと、多くは「電流」「電圧」の双方を測れる「テスター」を意味します。電圧測定のときには、まずスイッチを電圧（V）モードに切り替えます。

機材によっては、直流（DC）・交流（AC）を選べるので、回路に合った方に設定しましょう。赤いテスト棒を電位の高い側、黒を低い側につぎます。電圧計は並列回路でつなぐものなので、既存の回路を切断しないように注意してください。

電流計と同様で、電圧の目安が特にない場合は、高めのレンジから測っていくようにしましょう。デジタル式のメリットは桁数まで正確に読み取れる点と、測定速度が速い点です。一方で、電池など機器自体の電源が必要な点はデメリットといえます。

アナログ式の場合

アナログ式電圧計は、基本的に電圧測定のみに使用する機材です。まず、針がゼロに位置しているかをチェックします。ゼロからずれていれば調整つまみで補正しましょう。

その後、テスト棒のつなぎ方はデジタル式と同じで、赤い方が高電位、黒い方を低電位につないで測定します。アナログの場合は、繋ぐと最初は針が左右に振れて、落ち着くまで少し時間がかかるので待ちましょう。

アナログ式のメリットと注意点は電流計と同様で、不安定でも針の振れる範囲で測定可能なこと、電源がいらないことが利点です。一方で、見る角度などによって微妙に読み取れる数値がずれる可能性がある点が注意点といえます。

損傷・故障がないことを事前に確認

電流計や電圧計に故障・損傷がないことを確認しましょう。通電する部分に異常があれば、漏電やショート、熱損傷といった事故につながります。

テスト棒の先端が摩耗したり、不自然に曲がっていたりしてないかを確認しましょう。また、ケーブルに断線や被覆の裂け目がないか要チェックです。スイッチが緩んでいないか、本体ケースにひびが入っていないかも見ておきましょう。使用に不安があるほどの劣化が見つかった場合は使用中止し、機器を交換してから作業を進めてください。

内部抵抗による誤差が生じる場合がある

電圧計・電流計は、いずれも内部抵抗により測定誤差を生む可能性があります。機器には内部抵抗の値が記載されているので、事前にどの程度の誤差が生じうるかをみておきましょう。

なお、電圧計は内部抵抗が大きいほど精度高く測定ができます。逆に電流計は、内部抵抗が小さいほど精度が向上します。誤差が大きすぎる場合には、より高性能な計器を選ぶ必要があります。

電流・電圧は単位の大きなモードから計測する

計器には色々な測定レンジが用意されていますが、適切なレンジを選ぶことが大切です。特にレンジに対して電流・電圧が過大になると、テスターのヒューズが切れるなどの機材の故障につながります。

なお、レンジに対して電流・電圧が過小だった場合には、機材に特に影響はありません。もしも電流や電圧の目安がわからない場合には、各機材の最大レンジから測定して、徐々にレンジを引き下げていくのが有効です。

絶縁を徹底して事故を予防する

測定作業中の感電事故には、充分に注意してください。まず、テスト棒の金属部分には素手で触れないよう徹底し、常にゴムなどで絶縁された持ち手部分をつかみましょう。絶縁グローブを装着して作業をすると、より安全です。

湿気のある場所、雨の日の屋外での測定は避けるとともに、作業場所は事前によく乾燥させておきましょう。