サクションホースの特徴と基本的な使い方について徹底解説!

サクションホースは主に流体の給排水などに使用します。
工業用以外にも、農業やポンプ用など用途に合わせて形状や材質は様々です。
今回は、工場や工事の現場で使われるサクションホースの用途や使い方、他の工業用ホースとの違いなどについて解説します。
INDEX
- 1.サクションホースとは?流体の送水・排水に使うためのホース
- 1-1.給排水用
- 1-2.食品用
- 1-3.薬品用
- 2.サクションホースと他の工業用ホースとの違い
- 2-1.ダクトホースとの違い
- 2-2.デリバリーホースとの違い
- 2-3.サニーホースとの違い
- 3.おすすめのサクションホース
- 3-1.給排水用のサクションホース
- 3-2.食品用のサクションホース
- 3-3.薬品用のサクションホース
- 4.サクションホースの素材は?
- 4-1.塩ビ
- 4-2.ポリウレタン
- 4-3.テフロン
- 4-4.ゴム
- 4-5.ゴムと樹脂の複合材
- 5.サクションホースの取付・使用方法
- 5-1.サクションホースを温めて柔らかくしておく
- 5-2.ホース用金具に石鹸や洗剤を塗る
- 5-3.取付後の使用確認
- 6.まとめ
サクションホースとは?流体の送水・排水に使うためのホース

サクションホースは、流体などを給排水するために使うホースです。
「サクション」とは吸い込む・吸引するという意味で、普通のホースとの違いは、負圧の圧力にも耐えられるよう硬い樹脂がらせん状に埋め込まれていること等が挙げられます。
流体の移送をする際ホース内部に圧力がかかるので、普通の単層管ホースだと圧力によって潰れてしまい流体が運べなくなってしまいます。
サクションホースは潰れて流体が運べなくならないように、硬い素材で補強されているのが特長です。
● 建築
● 土木
● 農業
● 食品生産/加工
● 医薬品生産/加工
など様々な分野で用いられており、用途によって耐圧性や特長が異なります。
給排水用
給排水用のサクションホースは、家庭での利用から、建設現場、農業、工業、船舶といった幅広いユースケースがあります。アイテムのラインナップも豊富にあるので、給排水する液体の種類や量、規模などに応じて、最適なサクションホースを選択可能です。
例えば家庭でも使えるレベルのサクションホースを工業用の大規模な作業に使うと、スペックが足りずに作業が不十分となります。逆に工業用でも使えるレベルのサクションホースを家庭で使うと、オーバースペックとなり、費用も無駄になるので慎重に選ぶことが大切です。
食品用
弘進ゴム 食品用サクションホース GS 食品 WS型N 50mm 1〜50m
食品用サクションホースは、FDAや欧州の食品安全規制などの食品衛生規格に適合する素材で作られており、無臭・無味で安全な移送が可能です。柔軟性が高いので狭いスペースや複雑な配管でも容易に使用できます。
さらに耐圧性や耐真空性があるので、効率的な吸引や排出が可能、なおかつ内壁が滑らかなので液体の流れがスムーズとなります。耐薬品性と耐温性もあり、厳格な衛生管理が求められる環境・現場においても使用可能です。
薬品用
薬品用サクションホースは化学物質の移送に特化しています。フッ素樹脂や塩化ビニル、ゴムなど優れた耐薬品性を持つ材料で作られているのが特徴です。このため酸性が強い液体、アルカリ性が強い液体などでも安全に移送できます。
またホースの内壁は滑らかな構造になっているので、移送後には化学物質の残留がほとんどありません。そのためホース内部の洗浄やメンテナンスも容易となります。さらに耐熱性、耐寒性にも優れているため、外気の温度や室内の温度を問わず幅広い環境での利用が可能です。
サクションホースと他の工業用ホースとの違い

サクションホースは、ダクトホースやデリバリーホースなど他の工業用ホースとは何が違うのかについて見ていきましょう。
工業用ホースの特長については、『工業用ホースの特徴と種類を徹底解説!』で詳しくご紹介しています。
合わせてご覧ください。
ダクトホースとの違い
サクションホースとダクトホースは用途、設計に違いが見られます。サクションホースの目的は液体や粉体の吸引、排出です。この目的の達成のため、耐圧性や耐真空性が高く、堅牢な素材で作られています。
一方でダクトホースは、主に空気やガスの通風、排気に特化しています。軽量かつ柔軟性が高いのが特徴です。作業中は内部にさほど圧力がかからないため耐圧性はそこまで重視されておらず、むしろ可とう性(折り曲げ可能であること)が重視されます。
デリバリーホースとの違い
デリバリーホースは「デリバリー」の名前からも分かる通り、液体を排出するのが目的です。サクションホースのような「吸引する」機能はありません。実際の構造はアイテムによりますが、一般的には軽量で柔軟性が高いものが多く見られます。
また作業時の圧力のかかり方にも違いがあります。サクションホースは内圧が負圧状態になりますが、デリバリーホースは加圧状態となります。
サニーホースとの違い
サニーホースは軽量でなおかつ柔軟性の高いホースとなっており、主に家庭用や小規模農業での排水、散水などに使われています。一方でサクションホースは耐圧性や耐久性に優れており、工業や農業といった大規模な排水・散水作業に使われるのが特徴です。
おすすめのサクションホース
おすすめのサクションホースを給排水用、食品用、薬品用に分けてそれぞれ紹介します。
給排水用のサクションホース
給排水用でおすすめのサクションホースを紹介します。
タイガースポリマー タイパワーホースWS型 φ100
タイガースポリマー タイパワーホースWS型 φ100はタイガースポリマー株式会社のサクションホースです。主な特徴として、下記の点が挙げられます。
● WT型の耐圧タイプ
● 軽量かつ優れた柔軟性
● 補強コード入りで耐圧性に優れる
主に土木工事の用途で用いられます。使用可能な温度の範囲はマイナス10度から50度に設定されており、幅広い温度環境で利用可能です。
カナフレックス V.S.-A2型 φ25 VS-A2-025
カナフレックス V.S.-A2型 φ25 VS-A2-025はカナフレックスコーポレーション株式会社のサクションホースです。全部で8段階の長さがあり、それぞれの用途に応じて適したサイズを選択できます。
主な特徴は下記の通りです。
● 軽量で柔軟性がある
● 可とう性に優れている
用途としては、土木現場での給排水、工業用の給排水があります。販売価格は最安値で616円となっており、お手頃価格である点も魅力です。
食品用のサクションホース
食品用でおすすめのサクションホースを紹介します。
弘進ゴム 食品用サクションホース GS 食品 WS型N 50mm 1〜50m
弘進ゴム 食品用サクションホース GSは、弘進ゴム株式会社のサクションホースです。食品衛生法・食品添加物等の規格基準 昭和34年厚生省告示第370号(改正 平成18年厚生労働省告示第201号)に適合しており、主に下記の用途で利用されます。
● ビール
● 清酒
● 飲料水
● その他食品関係の輸送
ただし油脂および脂肪性食品での利用はできません。
ホースの内外面はともに平滑であり、柔軟性にも優れています。また軟質部分は透明になっているため、ホース内部の流体確認も可能です。
東拓工業 TACエコライン耐熱耐油100℃仕様 φ38
東拓工業 TACエコライン耐熱耐油100℃仕様 φ38は東拓工業株式会社のサクションホースです。厚生省告示第370号の食品、添加物などの規格基準に適合しており、油脂および脂肪性食品、一般食品の輸送に使用できます。
主な特徴は下記の通りです。
● 100度以下の条件で熱湯洗浄が可能
● 95%エタノール洗浄が可能で衛生的
● 焼却時の有毒ガス発生の心配がない
● 半透明でホース内部の輸送物を確認可能
● 補強コード入りであり、耐圧性能が高い
用途としては食品油などの油脂及び脂肪性食品、清酒、焼酎などのアルコール類、清涼飲料水などの輸送、100度以下の温水の輸送などがあります。
薬品用のサクションホース
薬品用でおすすめのサクションホースを紹介します。
トヨックス 帯電防止フッ素ホース(耐薬品・食品用) トヨフッソEホース
トヨックス 帯電防止フッ素ホース(耐薬品・食品用) トヨフッソEホースは株式会社トヨックスのサクションホースです。薬品を含めて、溶剤、油、化粧品、食品などの輸送に使われます。
静電気防止加工が施されているので、長時間の帯電防止が可能です。使用シーンは幅広く、化学、薬品、純水、化粧品、食品、半導体工場における搬送ホースとして使えます。
国産のホースであり、なおかつFDA(米国食品医薬品局)登録品、RoHS2修正規制適合のホースであるため安全・安心です。
八興 スーパー柔軟フッ素スプリング
八興 スーパー柔軟フッ素スプリングは株式会社八興のサクションホースです。ホースの内層が4フッ化系フッ素樹脂であり、優れた耐溶剤性・耐薬品性を有しています。ほとんどすべての薬品の耐性があるのが特徴です。
用途としては、薬品だけではなく飲料、油、ガソリン、食用などの輸送にも使われます。またつぶれにくい性質もあり、バキューム(吸引)目的での利用も可能です。
サクションホースの素材は?

サクションホースで使われる素材についてご紹介していきます。
塩ビ
サクションホースで最もよく使用されているのが、塩ビ(PVC/塩化ビニール樹脂)です。
耐久性に優れ、様々な素材に強いことから広く用いられています。
ただし、塩ビ製品は処理時の焼却条件によってはダイオキシンなどの有害物質が発生するため、脱塩ビ製品の選択肢も増えてきています。
ポリウレタン
耐油性・耐摩耗性に優れているが、高温多湿状態だと加水分解が起こる。
テフロン
耐熱性・耐薬品性かつ、くっつきにくいので粘着性が高い流体移送にも向いている。
ゴム
耐熱性・耐油性が高く、液体・気体・薬品・油など様々な流体に対応できる。
ゴムと樹脂の複合材
耐久性・耐摩耗性の良いゴムと軽くて柔らかい樹脂の良いとこを掛け合わせ。
移送する流体や使用環境に合ったものをお選びください。
サクションホースの取付・使用方法

サクションホースを継手などの金具に取り付ける方法と、基本的な使用方法についてご紹介します。
取付・交換をする前に、
● サクションホース(ホースバンド・ホース用金具等含む)
● プラスドライバー
● マイナスドライバー(交換の場合)
● カッター(交換の場合)
● 石鹸や洗剤
● バケツ
● お湯
をご用意ください。
サクションホースを温めて柔らかくしておく
取り付けるサクションホースを柔らかくするため、バケツに熱湯を入れてサクションホースを温めておきます。
この作業を行うことでホースに柔軟性が出て、取付やすくなります。
ホースを交換する場合は、古いサクションホースを金具から取り外しましょう。
バンドのネジを緩めてホースから取り外します。
ホースとホース用金具が取り外せない場合は、カッターで切れ目を入れて取り外しましょう。
マイナスドライバーなど硬くて先端が薄いものを切れ目に差し込んで作業すると外しやすくなります。
ホース用金具に石鹸や洗剤を塗る
サクションホースを温めている間に、ホース用金具の取付部に石鹸や洗剤を塗ります。
カップリングとホースが外れないように、ホースバンドで固定します。
取付後の使用確認
サクションホースが取り付けられたら、吸引・移送したい流体に使用してください。
液体が漏れたり、空気が入るなど使用に影響が出る場合は、ホースバンドの位置をずらしてみたり、バンドを増やすなど対応してください。
サクションホースはあくまでも消耗品なので、長く使用すると硬化したり亀裂が入ったりすることがあります。
テープなどで破損箇所を補修したりせずに、定期的に状態をチェックして早めに交換してください。
まとめ
サクションホースは建築や工事現場だけでなく、工場や食品生産・管理など様々な分野で用いられています。
樹脂やワイヤーなどで補強されているため、圧力がかかってもホースが潰れません。
耐圧性能を確認し仕様に沿った圧力でご利用ください。またサイズ・温度・流体などによって選定条件が異なりますので、用途に適した製品を選びましょう。
また、サクションホースは使用している内に劣化しますので、定期的に交換が必要です。
現場市場ではサクションホースを多数取り扱っており、当日出荷可能な製品も多いのでお急ぎの時にもスピーディに対応可能です。
サクションホースをお探しの方はぜひこちらもご覧くださいませ。
この記事を書いた人
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店長
店長。現場資材を取り扱う商社で確かな知識と実績を積みました。あなたの現場ライフをより快適にするショップを絶賛運用してます!
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現場市場店長のコメント
サクションホースは様々なものを吸うために使用するのでそれに合わせて種類が豊富にございます。現場市場では各種メーカーと直接のつながりがあり、ホースの選定についてメーカーから直のご回答をご用意できます。
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